チェッキ(読み)ちぇっき(英語表記)Emilio Cecchi

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チェッキ」の意味・わかりやすい解説

チェッキ
ちぇっき
Emilio Cecchi
(1884―1966)

イタリアの批評家。フィレンツェの生まれ。カルダレッリ、バッケッリらとともに創刊した雑誌『ロンダ』(1919~23)を拠点に、クローチェの枠を離れた新傾向の批評を展開し、長くイタリアの新聞各紙の文芸欄に書評随想寄稿、凝った手法でフォルムの洗練と透徹を目ざした「短文」を自家薬籠(やくろう)中のものとし、現代イタリアにおける散文批評の一典型となる潤沢な成果を実らせた。彼は同時代のイタリア文学に限らず、英米文学の研究、翻訳の先達となったほか、美術批評や諸外国への旅行記などの広範なジャンルで多くの優れた著作を残した。その作家・作品論は、現在、大冊の『1900年代のイタリア文学』(1972)に集成されている。またN・サペーニョとともに編纂(へんさん)にあたったガルザンティ社版『イタリア文学史』(1965~69)全9巻の業績も見逃せない。なお、第二次世界大戦後のイタリアを代表するシナリオ作家のスーゾ・チェッキ・ダミーコは彼の娘である。

[古賀弘人]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チェッキ」の意味・わかりやすい解説

チェッキ
Cecchi, Emilio

[生]1884.7.14. フィレンツェ
[没]1966.9.5. ローマ
イタリアの批評家,文学史家。 1919年,文芸誌『ロンダ』 La Rondaの創刊に参加。パベーゼ,ビットリーニらとともに英米文学の紹介にも尽力該博な知識を駆使して,サペーニョとともに膨大な『イタリア文学史』 Storia della letteratura italiana (9巻,1963~70) を編纂した。主著『批評研究』 Studi critici (12) ,『金魚』 Pesci rossi (20) ,『19世紀イタリア絵画』 Pittura italiana dell'Ottocento (26) ,『英米作家論』 Scrittori inglesi e americani (35) ,『日々』 Di giorno in giorno (54) 。

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