改訂新版 世界大百科事典 「チオノドクサ」の意味・わかりやすい解説
チオノドクサ
glory-of-the-snow
Chionodoxa
ユリ科の春咲き球根植物。小アジアから東地中海地方の亜高山から高山帯に約6種があり,いずれも耐寒力の強い鱗茎を有する秋植球根。花は早春に咲き,輝くような白色や青色あるいは桃色。葉は早春に2~3枚出し,長さ8cm,幅1cmくらい。中央より高さ10cmあまりの細い花茎を出し,3~6輪の花を総状につける。チオノドクサ・ルシリアC.luciliae Boissは小アジアやクレタ島に分布し,明るい青色花を数輪咲かせる。白や桃色の品種もある。ギガンテアcv.Giganteaはより大型,青色で中心部に白斑のある花をつける。チオノドクサ・サルデンシスC.sardensis Drudeは西南アジアの高山性で最も早咲きの種。小型で花茎の高さは10cmほど。鮮青色の花を数輪つける。植込みは秋10月,鉢植えあるいは花壇のふちや林縁に植栽してもよい。花は雪がとけるとすぐに咲くので,とくに北国で人気がある。葉が黄変したら乾燥状態に保ち,地植えの場合は2~3年据置きしてもよい。種子を秋まきしても殖やせるが,普通開花までに2~3年を要する。
執筆者:川畑 寅三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報