チャルメラ(読み)ちゃるめら

日本大百科全書(ニッポニカ) 「チャルメラ」の意味・わかりやすい解説

チャルメラ
ちゃるめら

日本のダブル・リード(複簧(ふくこう))気鳴楽器。木製円錐(えんすい)管で、表に7、裏に1個の指孔(ゆびあな)があり、吹口に二つ裂きの藁(わら)を取り付け、口にくわえて吹奏する。中国の嗩吶(ソーナー)が16世紀末に渡来して日本化したものと考えられている。一般には、「ドレミレド、ドレミレドレ」の基本旋律を即興的に変奏しながら深夜の町を流す夜鳴きそば屋の楽器として、庶民的な下町の音の一端を担ってきた。こうした背景があるため、歌舞伎囃子(かぶきばやし)で中国的な雰囲気を出したり(『国性爺合戦(こくせんやかっせん)』など)、下町の感じを出す(『髪結藤次(かみゆいとうじ)』など)のに利用され、長唄(ながうた)では『虎狩(とらがり)』『三国妖狐物語』の唐楽(とうがく)の合方(あいかた)などに用いられた。

 名称については、16世紀後半伝来の中国系とは異なるイベリア系真鍮(しんちゅう)製のものが南蛮笛とよばれたが、これは普及せず、そのポルトガル語charamelaがなまった「チャルメラ」が転用されたと考えられる。これら一連の類似楽器は、西アジアスルナイ、またはその祖型から伝播(でんぱ)変容したのであろう。

山口 修]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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