チューブリン(その他表記)tubulin

デジタル大辞泉 「チューブリン」の意味・読み・例文・類語

チューブリン(tubulin)

微小管の主要構成たんぱく質。微小管は真核生物細胞骨格として広く分布している。

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改訂新版 世界大百科事典 「チューブリン」の意味・わかりやすい解説

チューブリン
tubulin

微小管microtubuleを構成するタンパク質。微小管は生物界のほとんどすべての細胞に見いだされる直径24nmの管状繊維構造で,鞭毛・繊毛運動,細胞形態の形成・維持,細胞分裂,神経軸索内輸送などの多くの生理現象に深く関与している。1963年にギボンズI.R.Gibbonsが抽出,68年に毛利秀雄命名。チューブリンはα,βの2種の異なったサブユニットから成り,異質二量体としての分子量は約11万で,2分子のGTPグアノシン三リン酸)と1分子のマグネシウム結合している。細胞分裂阻害剤であるコルヒチンビンブラスチンなどとも結合する。これらの結合により分裂装置を構成している微小管が脱重合して細胞分裂が阻害される。アミノ酸配列は決定されているが,α鎖のカルボキシル末端にしばしばリガーゼによるチロシンの付加反応が起こっている。細胞内では細胞周期や生理的状態の変化に応じて,チューブリンと微小管の重合・脱重合による相互変換反応が微妙に制御されている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チューブリン」の意味・わかりやすい解説

チューブリン
ちゅーぶりん
tubulin

細胞内の微小管を構成するタンパク質。沈降定数6Sの異形二量体として単離される。単量体はそれぞれ分子量約5万5000のα(アルファ)とβ(ベータ)で、ともにその全アミノ酸配列はブタの脳から得られたものについて決定されている。二量体一に2分子のグアニンヌクレオチドが、一つは強く、他は弱く結合している。アルカロイドのコルヒチン、ビンクリスチン、ビンブラスチンが強く結合し、微小管の重合を阻害する。これにより有糸分裂阻害がおこる。

[馬場昭次]

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百科事典マイペディア 「チューブリン」の意味・わかりやすい解説

チューブリン

微小管の主要構成成分をなすタンパク質。分子量それぞれ約5.5万のαおよびβサブユニットからなり,ふつう二量体として単離される。分子内にグアニンヌクレオチドを含み,条件によって重合または脱重合を起こす。微小管を形成して細胞骨格やさまざまな細胞運動(繊毛運動や有糸分裂など)に関わるほか,神経の軸索流など細胞内の物質輸送にも関与,細胞生理に重要な役割をする多機能のタンパク質である。

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化学辞典 第2版 「チューブリン」の解説

チューブリン
チューブリン
tubulin

細胞内の微小管のサブユニット.球状のタンパク質で,α-チューブリンとβ-チューブリンの二量体が基本単位となり,それらが多数つながって微小管ができる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

栄養・生化学辞典 「チューブリン」の解説

チューブリン

 微小管を形成する分子量50kの球状タンパク質.2種類がある.チューブ状の構造を形成する.

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世界大百科事典(旧版)内のチューブリンの言及

【コルヒチン】より

…このための副作用として最初に現れるのは胃腸障害であり,副作用が現れたならば直ちに使用を停止することが肝心である。細胞分裂の停止は,有糸核分裂の際に染色体を両極に引き離すのに当たって働く微細管が,その構成タンパク質チューブリンの分子の凝集によって形成される過程を阻害するからである。コルヒチンはチューブリンの分子と結合することによってこのような作用を現す。…

※「チューブリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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