コルヒチン(読み)こるひちん(英語表記)colchicine

翻訳|colchicine

日本大百科全書(ニッポニカ) 「コルヒチン」の意味・わかりやすい解説

コルヒチン
こるひちん
colchicine

アルカロイド一種で、ユリ科イヌサフランコルチカム)の種子球茎に含まれる。淡黄色の棒状結晶で、水によく溶け、光にさらすと黒ずむ。分子式はC22H25NO6で、炭素の7員環をもった構造である。分裂中の植物細胞に作用して紡錘体形成を阻害し、染色体の倍化をおこすので、細胞遺伝学の研究や育種に利用されている。種なしスイカなどの品種改良はその例である。医薬品としては、痛風鎮痛剤として古くから用いられてきたが、長期連用により血液障害や脱毛発疹(はっしん)、胃腸障害などの副作用がみられる。1錠中に0.5ミリグラム含有、1日3~4ミリグラムを6~8回に分けて服用する。

[幸保文治・星川清親]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コルヒチン」の意味・わかりやすい解説

コルヒチン
colchicine

C22H25O6N 。イヌサフラン科の多年草イヌサフランに含まれるアルカロイドの一種。痛風の急性発作を抑える特効薬として知られているが,その作用機序はよくわからない。黄色結晶。融点 155℃。細胞の核分裂を乱し,四倍体を生成させる働きをもつので,植物の品種改良に使用される。医薬品としては,痛風剤および制癌剤に用いられる。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報