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繊毛運動 せんもううんどうciliary movement

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

繊毛運動
せんもううんどう
ciliary movement

原生動物の繊毛虫,軟体動物の幼生,二枚貝類の鰓,高等動物の気管や輸卵管などにみられる運動法。水中の自由生活のものは繊毛を動かして移動し,管内などに生えている繊毛は水流を起したり,卵を運ぶ働きをする。繊毛の動かし方は,動物の種類によって多少の差があるが,水を強く打つ効果打と,水の抵抗を少くして,しなうようにもとに戻る回復打の2形式がある。この運動の機構について多くの説があるが,最近では筋肉の収縮と同じように,エネルギー系としては繊毛内に ATP系の存在が確かめられている。また繊毛内の1対の微小細管が,ずれの力を起して動かしているとの説もある。

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デジタル大辞泉の解説

せんもう‐うんどう【繊毛運動】

繊毛虫類の体表や後生動物の体腔壁などにある繊毛の運動。オール状に動き、移動や摂食のために水流を起こしたり、老廃物を排出したりする働きをする。

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大辞林 第三版の解説

せんもううんどう【繊毛運動】

繊毛虫類や繊毛上皮などにある繊毛の運動。一定の方向に毎秒数回から数十回繰り返される。摂食・呼吸のために水流を起こしたり、動物体の移動や、排出物・生殖産物の移送などに役立つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

繊毛運動
せんもううんどう

繊毛の行う能動的運動をいう。繊毛は、基部に屈曲が生ずることによる振り子型の運動(有効打)と、この屈曲の繊毛先端方向への伝播(でんぱ)を伴う逆向きの運動(回復打)を行う。この一連の運動は繊毛打とよばれ、普通、毎秒数回から数十回の頻度で繰り返される。刺激に反応して繊毛打の向きを変えたり(繊毛逆転)、急停止したり、頻度を変えたりするものがある。これらはホルモンや神経の支配を受けている場合があり、ムラサキイガイのえらの側繊毛やカエルの口蓋(こうがい)内表面の繊毛では神経支配が確かめられている。
 繊毛運動は周囲に水流をおこす。また微小な個体に遊泳のための推進力を与えたり、気管上皮などでは粘液層を移動させる。これにより繊毛虫や幼生の遊泳、二枚貝類、原索動物の濾過(ろか)摂食、ウニ類やクラゲ類の体液循環、腎管(じんかん)、細尿管、生殖輸管などでの排出物や生殖産物の移送、呼吸道の清掃に役だつ。筋収縮と比較すると、繊毛運動では、細胞体や組織の大掛りな変形を伴わずに効果を生ずるのが特徴である。多数の繊毛が運動する際には、多くの場合、隣接する繊毛の動きの間に一定の位相のずれがみられるため、全体として規則正しい波が伝わっていくようにみえる。これを繊毛波または継時性波という。繊毛運動の原動力は、ATP(アデノシン三リン酸)を直接のエネルギー源とする繊毛軸糸の周辺微小管相互の局所的滑りにあるとされる。しかし、一次元的な滑りが二次元ないし三次元的屈曲運動に変換され制御される機構には不明の点が多い。[馬場昭次]

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