日本大百科全書(ニッポニカ) 「チョー・オユー山」の意味・わかりやすい解説
チョー・オユー山
ちょーおゆーさん
Cho Oyu
ネパール・ヒマラヤ山脈、エベレスト山の北西約27キロメートル、ヒマラヤ山脈の主軸上にある高峰。標高8201メートルで世界第6位にランクされる。ドウド・コシ川の源頭部の氷河上にそびえ、このすぐ東の尾根伝いにゴジュンバ・カン山第二峰(7646メートル)、ギャチュン・カン山(7922メートル)が続く。インド測量局はただ「ピーク5」の記号でよんだが、その後1921年のイギリスの第一次エベレスト遠征隊がこの付近を偵察し、初めてチベット語でチョー・オユーという名でよばれていることを発見した。チョー・オユーとは「トルコ玉の女神」といった意味であり、青いトルコ玉はチベット人が珍重する貴石である。第二次世界大戦後の1952年イギリスのエベレスト遠征隊(隊長エリック・シプトンEric Shipton)が偵察、54年、オーストリア隊(隊長ヘルベルト・ティッチーHervert von Tichy)が攻撃中、フランス・スイス合同のガウリ・サンカル登山隊が強引に割り込んできたため競合になったが、10月19日、オーストリア隊によって初登頂された。地質学的にはエベレスト山と同じ石灰岩系統とみられる。
[金子史朗]
『ヘルベルト・ティッチー著、横川文雄訳『チョー・オユー登頂 神々の恩寵』(1927・朋文堂)』▽『高橋和之著『ヒマラヤを翔ぶ チョー・オユー8201m』(1988・朝日新聞社)』▽『日本ヒマラヤ協会編『ヒマラヤへの挑戦 エベレスト カンチェンジュンガ マカルー ローツェ チョー・オユー』(2000・アテネ書房)』