改訂新版 世界大百科事典 「ツノトカゲ」の意味・わかりやすい解説
ツノトカゲ (角蜥蜴)
horned lizard
頭部に角状突起のあるイグアナ科ツノトカゲ属Phrynosomaに属するトカゲの総称。アメリカ合衆国のロッキー山脈以西の,ワシントン州以南からメキシコ,グアテマラに15種ほどが分布し,そのうち7種がアメリカ合衆国に分布している。全長6~10cmほどの小型で,大きな種類の最大値でも15~18cmほど。頭部後縁には10本の骨質の角状突起があり,後頭部の4本がとくに大きいが,そのうちテキサスツノトカゲP.cornutumのように中央の2本がとくに大きいもの,4本がほぼ同大のもの,あるいは突起全体がきわめて小さい種類もある。胴は楕円形で平たく,尾は短くて全長の1/3以下。頭胴,尾の側縁にはとげ状うろこが並び,背面にもとげが散在する。砂地にすみ,体温が上昇すると活発に行動し,アリなどの昆虫,クモなどを舌にくっつけて盛んにとらえる。夜間や気温が降下すると砂中に潜る。背面の体色や斑紋は,小石のまばらな砂地では巧みなカムフラージュとなる。卵胎生または卵生で,卵生種は砂中に20~30個ほどを産卵する。数時間で孵化(ふか)する種もあるがふつう数週間かかる。天敵は肉食の鳥類やクビワトカゲCrotaphytus collarisなどである。
→イグアナ
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報