イグアナ(その他表記)iguana

翻訳|iguana

デジタル大辞泉 「イグアナ」の意味・読み・例文・類語

イグアナ(iguana)

有鱗ゆうりん目イグアナ科の爬虫はちゅう総称。原始的なトカゲで、約600種が含まれ、狭義にはそのうちの30種をさす。尾が長く、全長1~2メートル。背に刃状の突起をもつ。ガラパゴス諸島に分布し海藻などを食べるウミイグアナや、熱帯アメリカに分布し樹上性で木の葉・果実を食べるグリーンイグアナなど。
[類語]蜥蜴とかげ襟巻蜥蜴守宮やもり金蛇カメレオン

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精選版 日本国語大辞典 「イグアナ」の意味・読み・例文・類語

イグアナ

  1. 〘 名詞 〙 ( [スペイン語] iguana ) イグアナ科のトカゲの総称。特に、その一種のグリーンイグアナを指す。メキシコから南アメリカ北部に分布する。体長は一・八メートルに達し、尾がその半分以上を占める。成体の体色は灰褐色から灰緑色。尾の両側に黒褐色の太い帯状の縞がある。大きなのど袋があり、頭部から尾端まで、背筋に沿って剣状の突起が一列に並ぶ。主に樹上生活をするが、走るのも泳ぐのもうまい。草、果実を常食とするが、小動物も捕食する。

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改訂新版 世界大百科事典 「イグアナ」の意味・わかりやすい解説

イグアナ
iguana

ペットとしても人気のあるイグアナ科Iguanidaeに属するトカゲ類の総称。約55属650種に及ぶ大きなグループで,2属がマダガスカル島,1属がポリネシアに生息する以外はすべてアメリカ大陸に分布する。頭頂部や背中線上にたてがみ状の飾りうろこ,のどには飾りひだをもつものが多い。他のトカゲ類よりも四肢も指も発達している。尾は発達しているが,切断すると再生はしない。樹上性または地上性でさまざまな環境にすみつき,砂漠地帯にも分布している。昼行性で,餌は新芽,果実などの植物質で昆虫類なども含まれる。大半は卵生で,ハリトカゲ類SceloporusツノトカゲPhrynosomaの一部が卵胎生。全長10~30cmほどの小型が多いが,1.2~2mに達する大型も見られる。

 代表的なグリーンイグアナIguana iguana(英名green iguana)は単にイグアナとも呼ばれ,イグアナ類では最大種で全長1.5~2mに達する。メキシコからアルゼンチンに至る熱帯アメリカに広く分布する。雄のたてがみ状の飾りうろこは長さ8cmもあり,のどの飾りひだも雄のほうが雌よりも大きい。繁殖期の雄は飾りひだをいっぱいに広げ,うなずくように頭を上下に振って,雌に対する求愛やライバルの雄に対する誇示を行う。昼間は熱帯降雨林水辺に突き出た枝に休んでいるが,猛禽類など天敵の姿を見るや高い枝から水中に飛び降りて隠れ,ときには20mの高さから林床に飛び降りることもある。フィジーイグアナBrachylophus fasciatusはフィジー・トンガ両諸島固有の稀種(きしゆ)で,全長90cm,美しい縞模様をもつ。グリーンアノールAnolis carolinensis(英名green anole)は全長12~18cm,アメリカ合衆国南東部,キューバに分布し,最近は小笠原の父島にも移入されてすみついている。体色を緑から褐色に変化させるのでアメリカカメレオンの別名がある。指先が吸盤状になっており,雄ののどには鮮やかな赤紅色の飾りひだがある。アノールanole類は西インド諸島にナイトアノールA.equestris(全長45cm)など多数の種類が分布しており,北アメリカには,雄の腹側部にディスプレー用の目だつ青い斑紋をもつハリトカゲ類をはじめ,小型の地上性イグアナ類が多数分布し,人家周辺にもふつうに見られる。そのうちクビワトカゲCrotaphytus collarisは全長22cm,美しい斑紋と後肢だけで速く走ることで知られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「イグアナ」の意味・わかりやすい解説

イグアナ
いぐあな
iguana

広義には爬虫(はちゅう)綱有鱗目(ゆうりんもく)イグアナ科に属するトカゲの総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。種としてのイグアナIguana iguanaはグリーンイグアナともよばれ、メキシコ、西インド諸島、中央アメリカからブラジル南部、パラグアイに分布する。全長1.5~1.8メートル、尾が長く全長の3分の2ほどを占める。全身が細かい鱗(うろこ)に覆われ、頸部(けいぶ)から尾部にかけて背中線上に長い棘(とげ)状の飾り鱗が並ぶ。咽頭(いんとう)部には大きなひれ飾りが発達するが、雄のものが大きく、繁殖期にはこれを広げて頭を上下に振り、雌に対する求愛や縄張り(テリトリー)争いのディスプレーを行う。熱帯降雨林の水辺の樹上にすみ、タカなどの姿をみるとすぐに水中に飛び降りて隠れる。水中では、四肢を体側につけ、尾をくねらせて巧みに泳ぐ。地上での走行もすばやい。餌(えさ)は木の葉や果実など植物質のものであるが、幼時には昆虫もとらえる。雌は一度に30~40個ほどを地上に産卵するが、現地のインディオは、とらえた雌から食用のための卵を取り出し、腹部を縫ってから森に放ち、ふたたび卵を得ようとするといわれる。イグアナ科Iguanidaeは約50属700種に及ぶ大きなグループで、マダガスカルに2属、ポリネシアに1属(フィジーイグアナBrachylophus fasciatusなど2種)が生息する以外は、すべてアメリカ大陸に分布する。

[松井孝爾]

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百科事典マイペディア 「イグアナ」の意味・わかりやすい解説

イグアナ

イグアナ科に属するトカゲ類の総称。原始的なトカゲで,大部分がアメリカ大陸に分布。代表的なグリーンイグアナは体長1.5〜2m,尾はその3/5,体は黄緑色で,背中線上にたてがみ状の飾りが並ぶ。中南米の森林にすみ,樹上性。性温和で,おもに草,木の芽,果実などを食べる。同科にはそのほか半海生のウミイグアナ,砂漠生のツノトカゲ,日本でペットとして人気が出てきたグリーンアノールなどがいる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「イグアナ」の意味・わかりやすい解説

イグアナ
Iguana iguana; iguana

トカゲ目イグアナ科。全長 1.8m内外。頭部は大きく,尾は長く全長の3分の2ほどを占める。体は緑色がかった地色に黄褐色の帯がある。全身細かい鱗におおわれ,背中線上にたてがみ状の飾りがある。喉の下には大きな鰭状の飾りがあり,雄では大きい。水辺の樹上に好んですみ,木の葉や果実などを食べるが,幼時は昆虫類も食べる。メキシコ,中央アメリカからアルゼンチンにかけて分布する。

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