翻訳|iguana
ペットとしても人気のあるイグアナ科Iguanidaeに属するトカゲ類の総称。約55属650種に及ぶ大きなグループで,2属がマダガスカル島,1属がポリネシアに生息する以外はすべてアメリカ大陸に分布する。頭頂部や背中線上にたてがみ状の飾りうろこ,のどには飾りひだをもつものが多い。他のトカゲ類よりも四肢も指も発達している。尾は発達しているが,切断すると再生はしない。樹上性または地上性でさまざまな環境にすみつき,砂漠地帯にも分布している。昼行性で,餌は新芽,果実などの植物質で昆虫類なども含まれる。大半は卵生で,ハリトカゲ類Sceloporusとツノトカゲ類Phrynosomaの一部が卵胎生。全長10~30cmほどの小型が多いが,1.2~2mに達する大型も見られる。
代表的なグリーンイグアナIguana iguana(英名green iguana)は単にイグアナとも呼ばれ,イグアナ類では最大種で全長1.5~2mに達する。メキシコからアルゼンチンに至る熱帯アメリカに広く分布する。雄のたてがみ状の飾りうろこは長さ8cmもあり,のどの飾りひだも雄のほうが雌よりも大きい。繁殖期の雄は飾りひだをいっぱいに広げ,うなずくように頭を上下に振って,雌に対する求愛やライバルの雄に対する誇示を行う。昼間は熱帯降雨林の水辺に突き出た枝に休んでいるが,猛禽類など天敵の姿を見るや高い枝から水中に飛び降りて隠れ,ときには20mの高さから林床に飛び降りることもある。フィジーイグアナBrachylophus fasciatusはフィジー・トンガ両諸島固有の稀種(きしゆ)で,全長90cm,美しい縞模様をもつ。グリーンアノールAnolis carolinensis(英名green anole)は全長12~18cm,アメリカ合衆国南東部,キューバに分布し,最近は小笠原の父島にも移入されてすみついている。体色を緑から褐色に変化させるのでアメリカカメレオンの別名がある。指先が吸盤状になっており,雄ののどには鮮やかな赤紅色の飾りひだがある。アノールanole類は西インド諸島にナイトアノールA.equestris(全長45cm)など多数の種類が分布しており,北アメリカには,雄の腹側部にディスプレー用の目だつ青い斑紋をもつハリトカゲ類をはじめ,小型の地上性イグアナ類が多数分布し,人家周辺にもふつうに見られる。そのうちクビワトカゲCrotaphytus collarisは全長22cm,美しい斑紋と後肢だけで速く走ることで知られる。
執筆者:松井 孝爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
広義には爬虫(はちゅう)綱有鱗目(ゆうりんもく)イグアナ科に属するトカゲの総称で、狭義にはそのうちの1種をさす。種としてのイグアナIguana iguanaはグリーンイグアナともよばれ、メキシコ、西インド諸島、中央アメリカからブラジル南部、パラグアイに分布する。全長1.5~1.8メートル、尾が長く全長の3分の2ほどを占める。全身が細かい鱗(うろこ)に覆われ、頸部(けいぶ)から尾部にかけて背中線上に長い棘(とげ)状の飾り鱗が並ぶ。咽頭(いんとう)部には大きなひれ飾りが発達するが、雄のものが大きく、繁殖期にはこれを広げて頭を上下に振り、雌に対する求愛や縄張り(テリトリー)争いのディスプレーを行う。熱帯降雨林の水辺の樹上にすみ、タカなどの姿をみるとすぐに水中に飛び降りて隠れる。水中では、四肢を体側につけ、尾をくねらせて巧みに泳ぐ。地上での走行もすばやい。餌(えさ)は木の葉や果実など植物質のものであるが、幼時には昆虫もとらえる。雌は一度に30~40個ほどを地上に産卵するが、現地のインディオは、とらえた雌から食用のための卵を取り出し、腹部を縫ってから森に放ち、ふたたび卵を得ようとするといわれる。イグアナ科Iguanidaeは約50属700種に及ぶ大きなグループで、マダガスカルに2属、ポリネシアに1属(フィジーイグアナBrachylophus fasciatusなど2種)が生息する以外は、すべてアメリカ大陸に分布する。
[松井孝爾]
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