日本大百科全書(ニッポニカ) 「ティグラト・ピレセル」の意味・わかりやすい解説
ティグラト・ピレセル(3世)
てぃぐらとぴれせる
Tukulti-apil-ešarra Ⅲ
(?―前727)
沈滞傾向にあった帝国を一躍一大勢力に再興させた新アッシリアの王(在位前745~前727)。元来、将軍の地位にあった彼は、王位につけられたのち、まず税制、地方総督制、軍備などの国内問題を整備し、それを基礎に征服政策に乗り出した。バビロニア、ウラルトゥ、シリア・パレスチナ(イスラエルの南北両王朝とも彼に服属した)などを征服し、紀元前729年にはプルPuluと称してバビロニアの王としても即位した。彼はふたたび首都をカルフに定め、その宮殿を種々の碑文やレリーフで飾った。そこには戦争の場面のほか、狩猟図やわずかの祭儀図も見受けられるが、彼のひととなりを明確に示すものはない。
[月本昭男]