日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルフ」の意味・わかりやすい解説
カルフ
かるふ
Willem Kalf
(1619―1693)
オランダの画家。ロッテルダムに生まれ、アムステルダムで没した。1640~1645年フランスに滞在、以後アムステルダムで活躍した。静物画に当時非凡な手腕を発揮し、コップ、瓶、壺(つぼ)、果物皿など各種のガラス器、銀器、陶器の置かれた主として朝食のテーブルを描くのを得意とした。構成の緻密(ちみつ)さと色彩処理の繊細さで描かれたそれらの静物は、絵画的にも優れているが、同時に正確な材質描写によって文化史的な意味も大きい。光と色調の処理にレンブラントの影響が強い。作品はルーブル、アムステルダム、ロッテルダム、ベルリン、ドレスデンなどの美術館にある。
[野村太郎]