ティセリウスの電気泳動装置(読み)ティセリウスノデンキエイドウソウチ

化学辞典 第2版 の解説

ティセリウスの電気泳動装置
ティセリウスノデンキエイドウソウチ
Tiselius-type electrophoresis apparatus

A.W.K. Tiselius(ティセリウス)が考案した,電気泳動の光学的観測装置切り口長方形U字管の両脚に,コロイド溶液分散媒との鮮明な界面をつくり,両端に電極を挿入して直流電圧をかけると,コロイドの荷電と反対の電極に向かって界面が移動(電気泳動)する.これに伴って濃度勾配がかわっていく状況を傾斜スリットと円筒型レンズを用いて,シュリーレン法を用いて写真に撮影できるようになっている.Tiselius(1938年)はタンパク質の溶液を用い,電気泳動の時間的変化を断続的に撮影し,いろいろの成分に分離されていくことを示した.光源には水銀灯の緑色光線を用い,電流のための発熱対流を抑制するために,装置全体は4 ℃ に保たれている.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

ティセリウスの電気泳動装置
ティセリウスのでんきえいどうそうち
Tiselius-type electrophoretic apparatus

高分子電解質,特に蛋白質定性,定量に利用される電気泳動装置。 A.ティセリウスによって考案された。電場における蛋白質の移動速度はその電荷分子量分子形状などによって影響されるので,その種類によって異なっている。この装置は特殊なU字管を用いて緩衝溶液と蛋白質溶液との間に界面をつくり,この界面の移動をシュリーレン光学系を用いて屈折率の差として測定する装置である。生体試料の蛋白質の定性,定量,精製蛋白質の純度決定などに利用できる。

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