水銀灯(読み)スイギントウ

デジタル大辞泉 「水銀灯」の意味・読み・例文・類語

すいぎん‐とう【水銀灯】

水銀蒸気を封入した真空管内のアーク放電によって生じる発光を利用する電灯。低圧のものは紫外線が非常に強いので蛍光灯殺菌灯などに、高圧のものは青白色の強い光を放つので野外照明・映写光源などに使用。水銀弧灯。水銀石英灯。
[補説]水俣条約水銀条約)の発効により、令和3年(2021)以降は製造と輸出入が禁止されている。
[類語]電灯蛍光灯アーク灯ナトリウム灯ガス灯電球白熱電球ナトリウムランプLED電球懐中電灯

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精選版 日本国語大辞典 「水銀灯」の意味・読み・例文・類語

すいぎん‐とう【水銀灯】

  1. 〘 名詞 〙 水銀蒸気中のアーク放電によって生じる発光を利用する放電管。低圧のものは紫外線が非常に強いので殺菌などの医療用に、高圧のものは照明用、超高圧のものは白色光になるので探照灯や、映画写真などの電源に用いられる。水銀弧灯。水銀石英灯。水銀電灯。〔電気工学ポケットブック(1928)〕
    1. [初出の実例]「あお白い水銀燈に照らされている舗装道路」(出典:私的生活(1968)〈後藤明生〉四)

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改訂新版 世界大百科事典 「水銀灯」の意味・わかりやすい解説

水銀灯 (すいぎんとう)
mercury vapor lamp

水銀蒸気中での放電による発光を利用したランプ。水銀蒸気の圧力が低いと紫外線は多く発生するが可視光が少ない。水銀蒸気の圧力を高くすると可視光が多くなるので,光源として使われるのは高圧水銀ランプである(図1)。高圧水銀ランプの構造は図2のように発光管と外管からなり,発光管に水銀が封入されており電極の間で放電発光させる。外管は発光管を保護し発光管からの紫外線を遮断するためのものである。水銀ランプは放電ランプであるため蛍光ランプなどと同様に安定器が必要である。高圧水銀ランプに安定器を組み合わせ,照明器具として完成した全体を指して水銀灯という。効率よく強い光を出すので屋外競技場,広場などの屋外照射に多く用いられる。外管内壁に蛍光物質を塗って光色を改善した蛍光水銀灯は,工場,屋内競技場などの屋内にも用いられる。最近では蒸気圧をとくに高くして光色を改善した超高圧水銀灯も実用化されている。いずれの水銀灯も点灯後10分近く経過して定常の明るさに達する。
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百科事典マイペディア 「水銀灯」の意味・わかりやすい解説

水銀灯【すいぎんとう】

高圧水銀蒸気中のアーク放電陽光柱真空放電)を光源とする放電灯。水銀・アルゴンガスを封入した石英製の発光管が,窒素を封入したガラス製外球に包まれている。効率がよく,青白色の強い光を放つので,工場,道路,庭園等の照明や,投光器,青写真焼付用の光源などに広く用いられる。外球内面に蛍光物質を塗り赤色を加えたもの,蒸気圧をさらに高め白色性を強めたものなどが作られている。蛍光灯では低圧水銀蒸気中の放電を利用。
→関連項目アーク灯照明太陽灯放電灯

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化学辞典 第2版 「水銀灯」の解説

水銀灯
スイギントウ
mercury lamp

水銀蒸気中に放電を起こさせたときの発光を利用する光源.放電中の水銀蒸気圧の違いによって発光波長に違いが出てくる.
(1)低圧水銀灯.水銀一滴と放電を助ける数百 Pa のアルゴンやネオンを封入した水銀灯.低電流で放電させると,おもに共鳴線(253.7 nm と184.9 nm)を発光する.可視部は弱い435.8 nm の発光である.
(2)高圧水銀灯.点灯中の水銀圧が1 atm 程度になるように設計されている.発光波長は365 nm 付近がもっとも強く,可視部は579,577,546,436 nm などからなっている.光源としてはフィルターと組み合わせて使用される.共鳴線は反転していてほとんど見えない.
(3)超高圧水銀灯.石英製の毛管中に水銀を封入し,高密度の電流を流すことによって水銀圧が数十 atm にもなる.このため,発光線の線幅が広がり,紫外から可視にかけての連続波長光源になる.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「水銀灯」の意味・わかりやすい解説

水銀灯
すいぎんとう
mercury-arc lamp

水銀蒸気中の放電を利用したランプ。一般の屋外照明以外に,殺菌灯 (低圧水銀灯) ,医療用の太陽灯 (高圧水銀灯) ,探照灯 (超高圧水銀灯) などにも用いられている。

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