日本大百科全書(ニッポニカ) 「テレシコワ」の意味・わかりやすい解説
テレシコワ
てれしこわ
Краткая биография Терешкова/Valentina Vladimirovna Tereshkova
(1937― )
ソビエト連邦の宇宙飛行士。ロシア共和国ヤロスラブリ近郊に生まれる。1960年にヤロスラブリ紡績技術学校を卒業。織物工場に勤務していたころ、地元の航空クラブでスカイダイビングをしていたことをきっかけに、1962年に宇宙飛行士候補に選抜された。1963年6月16日、人工衛星「ボストーク(ウォストーク)6号」に搭乗。世界初の女性宇宙飛行士として、71時間ほどで地球を48周した。彼女のコールサインである「私はカモメ(ヤー・チャイカ)」は有名になった。
宇宙飛行後はジュコフスキー空軍大学に入学し、1969年に宇宙工学の単位を得て卒業。1977年に工学で博士号を取得した。宇宙飛行士訓練学校職員を経て、ソ連婦人委員会議長、対外友好文化交流協会連盟議長などを務める。1966年から1991年までソ連邦最高会議代議員、党中央委員会委員を歴任。また、2011年のロシア下院選挙に出馬して当選し、政界に復帰した。向井千秋(むかいちあき)らの活躍につながる、女性宇宙飛行士への道を開いた意義は大きい。
[山本将史 2022年4月19日]
『武部俊一著『宇宙開発の50年――スプートニクからはやぶさまで』(2007・朝日新聞社)』