日本大百科全書(ニッポニカ) 「テーア」の意味・わかりやすい解説
テーア
てーあ
Albrecht Daniel Thaer
(1752―1828)
ドイツの農学者、財政学者。宮廷医師の子としてニーダーザクセンのツェレに生まれる。ゲッティンゲンで医学を学び、故郷に帰り父を助け、父の死後その地位を継いだ。医業に満足できなくなったテーアは、農場経営の実務と農業生産を高めるための科学的研究に没頭した。1802年、農業者のための講義を始め、04年プロシア宮廷の秘書官、ベルリン科学アカデミーの会員となった。同年オーデル川沿いのメグリンへ移住。10年ベルリン大学の財政学教授。テーアの活動範囲は広く、農業立法からヒツジのメリノー種の改良にまで及んだ。彼は、土中の腐植質の増加が農作物の収量を高める基本的条件と考え、腐植説の主唱者となった。主著に『イギリス農業経済序説』Einleitung zur Kenntnis der englischen Landwirtschaft(1798~1804)、『合理的農業の基礎』Grundzüge der rationellen Landwirtschaft(1809~12)がある。
[渋谷寿夫]