デイビー

化学辞典 第2版 「デイビー」の解説

デイビー
デイビー
Davy, Humphry

イギリスの化学者.イギリス・コーンウォル州ペンザンスに生まれる.1795年薬剤師のもとでの年季奉公を務め,独学でA.L. Lavoisier(ラボアジエ)の著作などに親しんだという.1798年にはD. Gilbert推挙でT.Beddoesの主催する気体研究所に雇われ,さまざまな気体の医学的効果を研究するなかで,一酸化二窒素(笑気)の麻酔作用を発見し注目される.これらの功績により,1801年ロンドンのロイヤル・インスティチューションの講演助手,1802年化学教授になる.1806年以降,ボルタ電池を改良した電気分解の実験で,アルカリ土類金属元素のCa,Mg,さらにNaやKなどのアルカリ金属元素を単離することに成功し,また化学結合が電気的極性にもとづくと考えるなど,一連の研究で電気化学の基礎を築いた.塩素単体であることを証明し,chlorineの名称を与えた.イギリスにおける農業化学を体系化した著書The Elements of Agricultural Chemistry(1813年)は,化学を農業への本格的・体系的に応用を試みた先駆けである.また炭鉱用の安全灯を案出し,その功績から男爵に叙され(1819年),科学の力によって中流下層から貴族にのぼり詰めた.ロイヤル・インスティチューションでの講演は有名であり,M. Faraday(ファラデー)らの新しい才能を引きつけ,また見いだしたことでも知られている.また,詩人S.T. Coleridgeをはじめとする当時一流の文化人士との交流も深く,教養豊かな化学者として,多くの尊敬を集めた.1820年にはロイヤル・ソサエティ会長に選出され,7年間在任したが,その改革に十分な指導力が発揮できず不評に終わった.J. Dalton(ドルトン)の原子論には懐疑的態度を示したように,理論体系を嫌った.同時代のJ.J. Berzelius(ベルセリウス)は,かれを“輝かしい断片を残したにすぎない”と評した.外国旅行中,ジュネーブで客死.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デイビー」の意味・わかりやすい解説

デイビー
でいびー

デービー

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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