ディーワーリー(その他表記)Dīwālī

改訂新版 世界大百科事典 「ディーワーリー」の意味・わかりやすい解説

ディーワーリー
Dīwālī

ヒンドゥー教祭りで,毎年カールティカ(10~11月)の新月の日に行われる。語源であるサンスクリットのディーパーバリーdīpāvalīは〈光の列〉を意味する。冬の播種期を迎える祭りであり,商人たちには新年の祭りでもある。起源は古く,プラーナ(ヒンドゥー教の聖典一つ)や古典期の文学作品には現在と変わらぬ風俗が描かれている。当日の夕刻,人々は富の女神ラクシュミー吉祥天)と,〈始まり〉を祝福し障害をはらう神ガネーシャプージャーをささげ,戸口,屋根,門,塀とあらゆるところに小さな土器(かわらけ)のランプを並べる。現代では電球やネオンも飾られ〈光の列〉をかたちづくる。2日前から始まる予備祭の間は斎戒沐浴し,夜は家の入口に灯をかかげる。この日はクリシュナが悪鬼ナラカースラを退治した日,ラーマラーバナを滅ぼし都に帰還した日,ビシュヌが矮人に権化して悪鬼の王バリを殺しラクシュミーを救い出した日,などと地方・宗派によりさまざまに伝えられている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ディーワーリー」の意味・わかりやすい解説

ディーワーリー
Dīvālī

ヒンドゥー教の祭りの一つ。「灯明の列」の意。 11月の初旬に行われるが,開催日は毎年変る。女神ラクシュミーを供養する祭りで,寺院にも街中にも灯明が置かれる。灯明が置かれている家にはラクシュミーが幸運や富をもたらすと信じられている。インドのマルワリ人にとっては新年に相当する祭り。

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世界大百科事典(旧版)内のディーワーリーの言及

【ヒンドゥー教】より

…家庭内の儀礼としては,家住期に毎日行うよう規定されている宇宙の根本原理ブラフマンのためにマントラ(真言)を唱えるブラフマン祭,いっさいの神々の供養を行うバイシュバデーバ祭,いっさいの生物に供物を与えるバリ供養,祖霊を供養する祖霊祭,客人を供養するアティティ祭という〈五大祭〉が中心をなしている。年間に行われる祭りの数は多数に上るが,代表的な諸神をまつる春の祭ホーリー(2~3月),とくにベンガルで盛んなドゥルガー女神の祭ドゥルガー・プージャー(9~10月),ラーマ王子が悪魔ラーバナを征伐した記念のダシャハラー祭(10月),灯火をともし,ラクシュミー女神をまつる灯火祭ディーワーリー(10~11月)などが主要なものである。これらのほかに,ケーララ地方には収穫の祭オーナム,南インドの収穫祭ポーンガルなど地方的な祭りもある。…

※「ディーワーリー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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