デバイ半径(読み)デバイはんけい(その他表記)Debye radius

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「デバイ半径」の意味・わかりやすい解説

デバイ半径
デバイはんけい
Debye radius

プラズマ中で反対符号の電荷によって,中心に置いた電荷の電気力が遮蔽される距離。プラズマは正イオンと電子から構成され,同種粒子反発異種の粒子は引合う。1個のイオンに着目すると,そのまわりを電子が取囲み,イオンによる電場を電子が静電的に遮蔽する。イオンから r の距離の電位 V は (e/4πε0r) exp (-rD) で与えられる。 r=λD の距離では,電位はクーロンポテンシャルの exp (-1)=0.368 倍に減少するので,これより遠方にはイオンによる電気力が及ばないと解釈できる。 λDデバイ半径またはデバイ距離と呼び,電子温度を Te ,1cm3 あたりのプラズマ密度を n とすれば, (単位はセンチメートル) である。 1923年,P.デバイと E.ヒュッケルによって電解質溶液について論じられたが,プラズマに拡張して適用されている。 (→デバイ=ヒュッケルの理論 )

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法則の辞典 「デバイ半径」の解説

デバイ半径【Debye radius】

プラズマ中で静電的な擾乱が存在しても,ある距離で遮蔽されてしまうので,遠距離までその影響が及ぶことはない.これは,もともと強電解質溶液理論としてデバイとヒュッケルによって導出されたことの応用であるが,この反対符号のイオンによる球対称な遮蔽の半径をデバイ半径という.記号は λD である.

出典 朝倉書店法則の辞典について 情報

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