デヒドロゲナーゼ(読み)でひどろげなーぜ(英語表記)dehydrogenase

日本大百科全書(ニッポニカ) 「デヒドロゲナーゼ」の意味・わかりやすい解説

デヒドロゲナーゼ
でひどろげなーぜ
dehydrogenase

酸化還元酵素一種で、脱水素酵素ともいう。細胞にエネルギーを供給する手段である生体内酸化還元反応には、脱水素反応酸素添加反応があり酸化還元酵素によって触媒されるが、生体内における代謝物質の酸化は一般に脱水素反応であり

と表すことができる。このように、基質から水素を離脱し、受容体に移す脱水素反応のうちで、受容体が酸素以外の色素や酸化還元系などのものを限定して一般にデヒドロゲナーゼとよぶ。これらの酵素の触媒する反応は、呼吸発酵、生合成などにおいて、代謝物質が酸化される第一の段階としてきわめて重要であり、したがって、これらの酵素はエネルギー代謝で基本的な役割を果たしている。基質に対する特異性は一般に高く、基質特異性もタンパク分子としても異なるデヒドロゲナーゼが数百種類も単離されている。その各名称は、代表的な基質の名を頭につけてよばれており、基質の水素供与体部位によって次のように大別される。

 基質が(1)CH-OHのもの(アルコールデヒドロゲナーゼなど)、(2)アルデヒドまたはケト基のもの(グリセルアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼなど)、(3)CH-CH基のもの(ジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼなど)、(4)CH-NH2基のもの(グルタミン酸デヒドロゲナーゼなど)、(5)CH-NH基のもの、(6)NADHまたはNADPHのもの。

 また、デヒドロゲナーゼは補酵素ないしは補欠分子族(補欠分子団)により、2種に大別できる。すなわち、(1)ニコチンアミドヌクレオチド依存性デヒドロゲナーゼはNAD+またはNADP+を補酵素として必要とするもので、アルコールデヒドロゲナーゼやマレートデヒドロゲナーゼなどがある。(2)FADまたはFMNを補欠分子族として含むフラビンタンパク質で、キサンチンデヒドロゲナーゼやNADHデヒドロゲナーゼなどがある。これらの酵素による触媒反応は、補酵素や補欠分子族の光学的性質を利用して、容易に追跡することができる。

[飯島道子]

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