日本大百科全書(ニッポニカ) 「オキシダーゼ」の意味・わかりやすい解説
オキシダーゼ
おきしだーぜ
oxidase
酸化還元酵素の一種。広義には、生物体内にあって酸化反応を触媒する酵素の総称であり、酸化酵素と訳される。狭義には、このうち分子状酸素を直接水素受容体として基質を酸化する反応を触媒する酵素をいう。現在では国際的規約によって、オキシダーゼという名称は後者の場合にだけ用いられる。正式には基質名に酸素オキシドレドクターゼをつけてよばれる酵素群であり、その慣用名としてオキシダーゼという名称が使われる。たとえば、正式名グルコース酸素オキシドレドクターゼの慣用名としてグルコースオキシダーゼという名称が使われる。オキシダーゼの作用によって基質が酸化されると同時に酸素は還元されるわけであるが、その際、酸素が過酸化水素になるものと、水になるものとに大別される。前者の例には、アオカビ類に存在するグルコースオキシダーゼ、生牛乳や肝臓などに存在するキサンチンオキシダーゼ、動物組織中に存在するD-アミノ酸オキシダーゼおよびL-アミノ酸オキシダーゼなどがある。これらの酵素は補欠分子族(補欠分子団)によって分類すると、いずれもフラビン酵素に属する。後者の例としてチトクロムcオキシダーゼ、ラッカーゼ(p-ジフェノールオキシダーゼ)、カテコラーゼ(o-ジフェノールオキシダーゼ)、アスコルビン酸オキシダーゼなどがある。いずれも鉄、銅などの重金属を含んでいるのが特徴である。チトクロムcオキシダーゼは細胞の呼吸に関与する酵素系のうちで、もっとも酸素に近いところに位置し、「末端酸化酵素」とよばれる重要な酵素である。
[飯島道子]
『A・L・レーニンジャー、D・L・ネルソン、M・M・コックス著、山科郁男監修、川嵜敏祐編『レーニンジャーの新生化学』第3版(2002・廣川書店)』