脱水素酵素(読み)ダッスイソコウソ

化学辞典 第2版の解説

脱水素酵素
ダッスイソコウソ
dehydrogenase

デヒドロゲナーゼともいう.酸化還元酵素の一種.有機化合物の脱水素反応を触媒する酵素の総称ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD),またはそのリン酸エステル(NADP),シトクロムなどが水素原子の受容体となる.たとえば,アルコールデヒドロゲナーゼアルコールアルデヒドにすると同時にNADを還元型NADとする.この酵素の水素供与体となる基質により,

(1) を供与体とするもの(アルコールからケトンへの酸化)

(2) -CHOを供与体とするアルデヒドデヒドロゲナーゼ(アルデヒドからカルボン酸への酸化)

(3) を供与体とするガラクトラクトンデヒドロゲナーゼ(不飽和結合の生成)

(4) を供与体とするグルタマートデヒドロゲナーゼ(酸化的脱アミノ化)

などがある.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

脱水素酵素
だっすいそこうそ
dehydrogenase

2種類の物質間で水素原子の授受を触媒する酵素。物質の一方は NAD(P)H,FAD,FMNなどの補酵素であることが多い。水素を提供する基質にちなんで,乳酸脱水素酵素コハク酸脱水素酵素などと呼ばれる。生理的条件では命名とは逆向きの反応が意味をもつこともあり,たとえば酵母のアルコール脱水素酵素は,アルコール発酵の最終段階において,アセトアルデヒドを還元型補酵素 ADH2 によって還元してアルコールを生じる方向に作用している。

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百科事典マイペディアの解説

脱水素酵素【だっすいそこうそ】

デヒドロゲナーゼとも。生体内の酸化還元に働く酵素の一群で,呼吸基質と電子伝達系の仲介として重要。基質(XH2)の水素を他の特定の物質(Y)へ移転する反応XH2+Y→X+YH2を触媒する。Yが酸素の場合は酸化酵素の名で呼ばれることが多い。補酵素NAD,NADPをもつピリジン酵素,助酵素FAD,FMNをもつフラビン酵素などに分けられ,前者には酵母や動物の肝臓に含まれるアルコール脱水素酵素,クエン酸回路で働くリンゴ酸脱水素酵素,後者にはやはりクエン酸回路で働くコハク酸脱水素酵素などがある。
→関連項目呼吸酵素酸化還元酵素

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世界大百科事典 第2版の解説

だっすいそこうそ【脱水素酵素 dehydrogenase】

AH2+B⇄A+BH2のようにあらわされる脱水素反応を触媒する酸化還元酵素の総称。デヒドロゲナーゼともいう。生物のエネルギー獲得手段として重要な生体酸化還元過程,すなわち呼吸や発酵,脂肪酸の酸化などにおいて,代謝中間体AH2は酸素によって直接酸化されるのではない。このことは,種々の動植物組織抽出液中で,有機物質がメチレンブルーのような色素を還元脱色する現象が発見されたことを契機として明らかにされた。

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世界大百科事典内の脱水素酵素の言及

【酸化還元酵素】より

… 生体内の酸化還元反応には水素原子の移動を伴う反応(脱水素反応)が多い。そのために多数の脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)が,生体物質の生合成や相互転換,分解など,中間代謝のさまざまの局面で機能している。特に発酵や呼吸のような,物質の酸化に伴って放出されるエネルギーを,生体が利用できる形に変換する重要な代謝過程においては,種々の有機物質からNADなどの補酵素に水素原子を伝達する反応を触媒する多数の脱水素酵素がはたらいている。…

※「脱水素酵素」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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