改訂新版 世界大百科事典 「デュランス川」の意味・わかりやすい解説
デュランス[川]
La Durance
フランス南東部の川。ローヌ川最大の支流で,全長約304km。フランス・アルプス南部のペルブー山群に源を発し,フランス・イタリア国境のコティエンヌ・アルプスとの間を南流したのち,中流のシストロン付近でプロバンスの丘陵地帯に出る。峡谷で名高いベルドン川との合流点より下流ではほぼ西流し,アビニョン付近でローヌ川に注ぐ。夏に乾燥する地中海式気候をもつ下流部では,大部分の水が灌漑用水路で南に分流され,地中海岸のベール湖に流入している。氷期にはシストロン付近まで谷氷河が進出して広いU字谷をつくった。急流のうえに融雪期(5000m3/s)と冬期(30m3/s)の流量変化が著しい典型的なアルプス型河川である。このため水力発電と灌漑用水の確保を目的とした巨大なダムが多く,中流部のセル・ポンソン・ダムはとくに有名。上流部のブリアンソンは軍都で,アルプス観光の中心地である。
執筆者:小野 有五
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報