トビズムカデ(読み)とびずむかで

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トビズムカデ」の意味・わかりやすい解説

トビズムカデ
とびずむかで / 鳶頭蜈蚣
[学] Scolopendra subspinipes mutilans

節足動物門唇脚(しんきゃく)綱オオムカデ目オオムカデ科に属する陸生動物。青森県以西の日本各地、朝鮮半島南部、中国大陸南部などに分布する。日本最大のムカデで、成長すると15センチメートルに達する。頭は黄赤色であるが背板は暗緑色か黒色、歩肢は黄色または橙(だいだい)色。頭に1対の触角と左右それぞれ4個ずつの単眼があり、1対の毒あごをもっている。歩肢は21対。森林の落ち葉の中や石垣のすきまなどにすみ、昆虫主食としているが、夏季には農村郊外人家に侵入することがある。かまれたときの痛みは強烈で、大きく腫(は)れることがあるが、人命にかかわることはない。古来から、油に浸しておいて、外傷火傷のときの塗布薬として民間で用いられるが、効果については不明である。

[篠原圭三郎]


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