ドラムリン
どらむりん
drumlin
氷河の底で氷河の流動方向にできた長円形の丘。高さは5~50メートル、長さは最大でも2キロメートルほどで、上流側に急、下流側に緩やかな傾きをもつ。まだ固まっていない砂礫(されき)や粘土などからなる氷河堆積(たいせき)物でできていることが多いが、一部に基盤の岩石が露出していることもある。後者は岩石ドラムリンとよばれる。氷河が前進してくるとき、氷河の下の圧力によって、氷河の底にあった未固結の砂礫が強く押されて変形し、高まりをつくったものと考えられている。いくつものドラムリンが並列して分布することが多く、アイルランド北部、アメリカ合衆国のニューヨーク州中西部、アルプス北麓(ほくろく)など、最終氷期に広がっていた氷床や山麓氷河の末端に近かった地域でみられる。
[小野有五]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ドラムリン
drumlin
大陸氷河によって運ばれた砂礫が氷河の底に堆積して形成された舟底状の丘。これは一般に数十m以下の高さであるが,長さは数 kmに及ぶことがある。長軸は氷河の流れにほぼ平行で,その断面は氷河の流れの上流に急傾斜,下流に緩傾斜である。岩塊,礫,砂,粘土が共存している。一般に集団的に存在する。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
世界大百科事典(旧版)内のドラムリンの言及
【氷河地形】より
… もともと起伏が小さい土地が氷河に覆われると,地質構造の影響を強く受けたなだらかな波状の地形が形成される。ドラムリンdrumlin,エスカーesker(アイルランド語eiscirに由来),モレーンなどの堆積地形によるせき止めもあって,ハドソン湾周辺(カナダ)のように湖沼地帯になることがある。氷河時代に氷河の表面より上にそびえていた山地は,山麓部が氷食を受けてなだらかな地形となっているのに,山頂部はごつごつした地形となる。…
※「ドラムリン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」