ドーソン(読み)どーそん(英語表記)Christopher Henry Dawson

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ドーソン」の意味・わかりやすい解説

ドーソン
D'Ohsson, Abraham Constantine Mouradgea

[生]1780. イスタンブール
[没]1855. ベルリン
スウェーデンの外交官,歴史家。アルメニア系。『チンギス・ハンからチムール・ベイすなわちタメルランにいたるモンゴル族の歴史』 Histoire des Mongols,depuis TchinguizKhan jusqu'à Timour Bey ou Tamerlan (通称ドーソン蒙古史』,4巻,1834~35) を著わした。アラビア語ペルシア語,トルコ語,シリア語など十数ヵ国語の根本史料二十数種を駆使し考証精密で,出典を明示し,現在も利用されている。また『10世紀におけるカフカス,黒海,カスピ海北方の諸民族,あるいはアブル・カシムの旅行記』 Des peuples du Caucasse et des pays au nord de la Mer Noire et de la Mer Caspienne,dans le Xe siècle,ou Voyage d'Abouel-Cassim (28) も著名

ドーソン
Dawson, Christopher Henry

[生]1889.10.12. スキプトン
[没]1970.5.25. バドリーソルタートン
イギリス宗教哲学者,宗教史家,文明評論家。オックスフォード大学卒業後,1914年カトリック改宗。宗教が社会と個人の精神的根底であるという思想から,社会学と宗教哲学の境界上の問題,特にヨーロッパ文明における宗教的なものの働きを研究。また進歩観念による宗教の世俗化がヨーロッパの没落の原因であるとして近代批判を展開。主著『進歩と宗教』 Progress and Religion (1929) ,『ヨーロッパの形成』 The Making of Europe (32) ,『宗教と近代国家』 Religion and the Modern State (35) など。

ドーソン
Dawson

カナダ,ユーコン准州の町。ユーコン川とクロンダイク川の合流点のユーコン川沿いの細長い台地にある。北緯 64°という高緯度にあり,6月後半はほとんど終日明るい。1月の平均気温-29℃,7月平均気温 16℃で厳寒。 19世紀後半のゴールド・ラッシュ最盛期には人口3万を数えたが,1921年以降は 1000人以下となった。 1898~1953年ユーコン准州の州都であったが,以後南部のホワイトホースに移った。金採掘は 66年に終了。カナダ騎馬警察隊の分遣隊がおかれる。人口 972 (1991) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ドーソン」の意味・わかりやすい解説

ドーソン(Christopher Henry Dawson)
どーそん
Christopher Henry Dawson
(1889―1970)

イギリスの歴史家、文化哲学者。カトリック・キリスト教の立場から、ヨーロッパ諸国の社会文化史の共通基盤を中世キリスト教に求め、現代ヨーロッパがそれに立ち返るべきことを主張した。その根底には、文化は宗教に依拠してのみ正しく発展しうるという文化哲学的な洞察がある。著書に『進歩と宗教』Progress and Religion(1929)、『ヨーロッパの形成』The Making of Europe(1932)、『宗教と西欧文化の勃興(ぼっこう)』Religion and the Rise of Western Culture(1950)などがある。

[金井新二 2015年7月21日]

『C・ドウソン著、野口啓祐訳『中世のキリスト教と文化』(1969/新版・1996・新泉社)』


ドーソン(カナダ)
どーそん
Dawson

カナダ北西部、ユーコン・テリトリー西部の町。人口1251(2001)。クロンダイク川とユーコン川の合流点に位置する。地名は、1887年にユーコン川を探検したカナダ人地質学者G・M・ドーソンに由来する。1896年、ドーソンの南東5キロメートルのボナンザ・クリークで金鉱が発見され、一時は人口が2万人にも達したが、1905年をピークに以後人口は減少した。

[山下脩二]

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