デジタル大辞泉
「なも」の意味・読み・例文・類語
なも[係助・終助]
[係助]《上代語》係助詞「なむ」の古形。多く助詞に付く。
「何時は―恋ひずありとはあらねどもうたてこのころ恋し繁しも」〈万・二八七七〉
[終助]《上代語》終助詞「なむ」の古形。動詞・動詞型活用語の未然形に付く。
「上野乎度の多杼里が川路にも児らは逢は―ひとりのみして」〈万・三四〇五〉
なも[助動]
[助動][○|○|なも|なも|○|○]《上代東国方言》動詞・動詞型活用語の終止形に付く。推量の助動詞「らむ」に同じ。→なむ[助動]
「うべ児なは我に恋ふなも立と月のぬがなへ行けば恋しかるなも」〈万・三四七六〉
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
なも
〘係助〙 係助詞「なむ」の上代語。主として
散文に用いられるが、条件句を承けることが最も多く、連用語を承けるものは少ない。
※
万葉(8C後)一二・二八七七「いつは奈毛
(ナモ)恋ひずありとはあらねどもうたてこのころ恋の繁しも」
[語誌](1)口頭語的性格が強いためか、歌にはほとんど用いられておらず、「
万葉集」には
挙例の
一例のみである。この性格は中古において「なむ」に受け継がれている。ただ、
後世の「なむ」が語を承けることができるのに対して、「なも」は語を承けることはあまりなく、引用句(「…となも」)や条件句(「…ばなも」「…どもなも」など)を承ける例が多い点が注意される。
(2)宣命には「…なも…く」のように
ク語法で結ぶ例がある。ク語法は活用語を体言化するから、「…なも…く」は
一種の体言止めと見られ、聞き手に対する念押し・確認を表わす
用法と見てよい。
なも
〘助動〙 (活用は「◯・◯・なも・なも・◯・◯」) 推量の助動詞「らむ」に相当する上代東国方言。
終止法および「か」の結びとして現われる。別に「なむ」の形もある。→
なむ。
※万葉(8C後)一四・三四七六「うべ児なは吾(わぬ)に恋ふ奈毛(ナモ)立と月(つく)のぬがなへ行けば恋ふしかる奈母(ナモ)」
なも
〘終助〙 終助詞「なむ」の古い形。
※万葉(8C後)一・
一八「
三輪山をしかも隠すか雲だにも情
(こころ)あら
南畝(ナモ)隠さふべしや」
なも
〘終助〙
文末などにあって、軽く
感情を添えて示す。ね。ねえ。な。なあ。
※雑俳・指使編(1851)「欲深のお袋・済ぬぞナモと出で来たり」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報