ナルコユリ(読み)なるこゆり

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ナルコユリ」の意味・わかりやすい解説

ナルコユリ
なるこゆり / 鳴子百合
[学] Polygonatum falcatum A.Gray

ユリ科(APG分類:キジカクシ科)の多年草。太い地下茎を横たえ、年ごとに節をつくる。春に芽を出し、茎は弓なりに伸びて約80センチメートル、上方にユリに似た葉を2列に互生する。この仲間ではもっとも葉幅が狭く、緑白色を帯びる。5月ころ中央部の葉腋(ようえき)から筒状の淡緑白色花を2、3個ずつ垂れ下げる。花は長さ約2センチメートル、先端は6裂する。丘陵山地藪陰(やぶかげ)に生え、日本全土、および朝鮮半島に分布する。名は、花が風に揺れるようすを鳴子に見立てたもの。近縁種オオナルコユリ(大鳴子百合)は全体がやや大形で、花は長さ2.5~3.5センチメートル。別の近縁種ミヤマナルコユリ(深山鳴子百合)は高さ30~50センチメートル。葉は幅が広く、卵形で先端はとがる。山地の傾斜地などによく群生する。

[鳥居恒夫 2019年4月16日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ナルコユリ」の意味・わかりやすい解説

ナルコユリ(鳴子百合)
ナルコユリ
Polygonatum falcatum

クサスギカズラ科(キジカクシ科)の多年草。本州,四国,九州および朝鮮半島に分布し,山林草原に生える。根茎は太く,横に伏して分枝,節がある。茎は高さ 50~130cm,丸く無毛で十数枚の葉を互生する。葉は披針形,長さ 8~20cm,幅 1~2.5cm,下面は粉白を帯び,先は鋭くとがり,柄はほとんどない。5月頃,葉腋に数個の花を下垂する。花は筒状で緑白色,長さ約 2cm,基部は少し柄状に細まり,柄との間に関節がある。花被は 6枚あり,上端を除いて筒形に合着する。液果は球形で藍黒色,径7~10mm。種子は卵球形,長さ 3mm。陰干しした根を煎じたものは強壮剤として効果があるといわれる。

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