強壮剤(読み)きょうそうざい

精選版 日本国語大辞典 「強壮剤」の意味・読み・例文・類語

きょうそう‐ざい キャウサウ‥【強壮剤】

〘名〙 全身新陳代謝を促し、栄養状態を良好にし、その結果衰弱した体力を回復させるための薬物。強壮薬。〔和蘭字彙(1855‐58)〕

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デジタル大辞泉 「強壮剤」の意味・読み・例文・類語

きょうそう‐ざい〔キヤウサウ‐〕【強壮剤】

体力回復や保健強壮のために用いる薬剤ビタミン剤栄養剤など。強壮薬。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「強壮剤」の意味・わかりやすい解説

強壮剤
きょうそうざい

新陳代謝機能の回復、栄養状態の改善、補血、強精、疲労回復など、広い意味での病体の一般的改善を目的とした薬剤をいい、変質強壮剤、苦味強壮剤、補血強壮剤、滋養強壮剤などがある。変質強壮剤とは体質を改善するという意味で、亜ヒ酸剤などがある。苦味強壮剤には胃液分泌を促す苦味剤としてキナ製剤が、補血強壮剤には鉄剤がある。滋養強壮剤は栄養によって機能の回復を図るもので、各種ビタミン剤、タンパク質、炭水化物ミネラルアミノ酸などがあげられる。漢方では人参(にんじん)がよく用いられる。最近では滋養強壮剤だけが栄養剤を含めて用いられ、薬用酒やドリンク剤がよく使われる。

[幸保文治]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「強壮剤」の意味・わかりやすい解説

強壮剤
きょうそうざい
roborant

広い意味では,新陳代謝,栄養状態の改善,補血,強精,老化遅延などを目的とした薬剤。鉄剤,銅,マンガンコバルト,リン酸,各種カルシウム剤,各種ビタミンのほか,経験的にチョウセンニンジン,ニンニク(大蒜),タイソウ(大棗),薏苡仁などが用いられる。狭義では疲労回復剤,強精剤とされるが,医学的な強壮法はまだ提示されていない。臨床と民間伝承により,ヒ素剤,リン製剤,キニーネ剤,鹿茸(ろくじょう)など特殊な生物製剤,ニンジン(白参,紅参)などの生薬が用いられる。

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世界大百科事典 第2版 「強壮剤」の意味・わかりやすい解説

きょうそうざい【強壮剤 tonic】

栄養素以外の物質で薬物として用いることによって生体の物質代謝を促進し体力を増進する物質をよぶが,薬理学的に明確な定義はない。さらには胃粘膜を刺激し食欲を増進させ消化液の分泌を促す物質も含める場合がある。物質代謝促進の考えから用いられたものに,ヒ素製剤,リンおよびリン酸化合物,キナ製剤および生薬,鉄剤,ヨウ素剤,甲状腺剤,カルシウム剤,さらには紅参(チョウセンニンジンの根を蒸したもの)や人参(チョウセンニンジンの根)などの各種生薬がある。

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百科事典マイペディア 「強壮剤」の意味・わかりやすい解説

強壮剤【きょうそうざい】

栄養素以外で生体の同化作用などを促進させる薬剤。古くは結核や梅毒など体が痩せる疾患に対し,ヒ素剤(赤血球の崩壊を抑制),リン製剤(骨組織に刺激を与える)などの〈変質剤〉と同義だったことがある。中国伝統医学での人参・紅参(チョウセンニンジン製剤)などどの〈補養の剤〉を意味することもある。

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