メガロポリス(読み)めがろぽりす(英語表記)Megalopolis

日本大百科全書(ニッポニカ) 「メガロポリス」の意味・わかりやすい解説

メガロポリス(巨帯都市)
めがろぽりす
megalopolis

巨帯都市ともいう。地理学者ゴットマンJ. Gottmann(1915―94)が1957年、アメリカ合衆国北東臨海部のボストンからニューヨークフィラデルフィアを経てワシントンに至る超大都市圏的な巨大な都市化地帯を全体としてこの名称でよんだことが始まりで、当初はこの地域のみの呼び名であった。やがて同様の巨大都市化地帯、すなわちいくつかの巨大都市圏を包含する連接的・多核的都市化地帯で、交通通信網によって密接に結ばれて機能的に一体化している地域、そして人口と経済力の集中によって国内経済の中枢となり、また国際的影響力をも発揮している地域を一般的にメガロポリスとよぶようになった。日本の首都圏から中京圏を経て阪神圏に至る東海道メガロポリス、ドイツ北部ルール地方からオランダベルギーを経て北フランス・パリ地方に至るヨーロッパ・メガロポリス、ロンドンからバーミンガムを経てランカシャー地方に至るイギリス・メガロポリスなどがその例である。巨大都市(mega-polis,giant city)と混同されることがあるが、メガロポリスは前述のようにゴットマンの一種造語であり、近代の大規模な都市化地帯を表す概念としてはこのほうが適切なものとして一般化した。なお、似た用語として古くからメトロポリスがあるが、これは一国または一地域の首都的、中心地的機能を有する都市というにとどまる。

[高野史男]

『J・ゴットマン著、木内信蔵・石水照雄訳『SD選書 メガロポリス』(1983・鹿島出版会)』『森川洋著『都市化と都市システム』(1990・大明堂)』


メガロポリス(ギリシアの古代都市)
めがろぽりす
Megalopolis

ギリシア南部、ペロポネソス半島中央部アルカディアの古代都市。紀元前370~前362年にテーベの将軍エパミノンダスが、スパルタに対抗するアルカディア同盟の中心として建設した。都市の名は「大きな都市」を意味する。全アルカディアの40の町や村から住民が移住した。前235年にアカイア同盟に加わり、同市出身のフィロポイメンは前210年ごろから同盟の主導者として活躍した。歴史家ポリビオスの出生地としても知られる。

[篠崎三男]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メガロポリス」の意味・わかりやすい解説

メガロポリス
Megalopolis

古代ギリシアのアルカディア地方の一都市。ギリシア語で「大きな都市」を意味する。前 370~362年にテーベのエパメイノンダスによってスパルタに対抗するアルカディア同盟の中心として建設され,アルカディア人の多くがここに移住した。スパルタの圧迫に耐えかねて救いをアテネに求めたが得られず,結局マケドニアに頼ることとなり,前4世紀には終始マケドニア側に立ったが,アレクサンドロス3世 (大王) の死後自立。前 235年に僭主リュディアダスが退位したあとアカイア連盟に加入し,フィロポイメンが連盟の将軍となって同盟内の指導的役割をにないスパルタと敵対したが,その後はふるわなかった。歴史家ポリュビオスはこの町の出身。これまでに会議場 (テルシリオン) ,劇場などが発掘されている。

メガロポリス
megalopolis

都市の一形態でいくつかの大都市,中都市が帯のように連続した地域。ギリシア語で「大きな都市」を意味する。巨帯都市と訳される。初め J.ゴットマンがアメリカ合衆国北東部ボストンからワシントンにいたる地域に命名した固有名詞であった。いまでは一般名詞としても使われている。

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