改訂新版 世界大百科事典 「ニーレンベルギア」の意味・わかりやすい解説
ニーレンベルギア
cup-flower
Nierembergia
アマモドキ属Nierembergiaの総称。ナス科の多年草または小低木で,南アメリカに約30種を産する。大型の花をつけるので,数種が観賞用に栽培される。ギンパイソウN.repens Ruitz.et Pav.(=N.rivularis Miers)(英名white-cup)は南アメリカの南部(アルゼンチン,チリ,ウルグアイ)原産の耐寒性多年草。茎は細く匍匐(ほふく)し,節から根と長さ3~5cmのへら形膜質の葉を出し,マット状に地面をおおう。初夏のころ葉腋(ようえき)に花をつけるが,花冠は花梗のように見える長い花筒と,その上部で径2cmぐらいのキキョウに似た白色杯状に広がった部分からなり,美しい。全然別の植物のユキノシタ科のギンバイソウと紛らわしい名まえなので,ギンサカズキという名もつけられている。アマダマシN.frutescens Dur.(英名tall cup-flower)はチリ原産の半灌木状の多年草。草丈30~90cm。細い茎を分枝し,線形葉を散生する。初夏に径2.5cmの白または紫色の杯状花を咲かせる。なお,近縁のN.coerulea Sealyはアルゼンチン原産で,その園芸品種に,草丈15~20cmで叢生し,紫青色杯状花を群生するパープル・ローブpurple robeがある。日当りと排水のよい所で栽培し,ギンパイソウは春に株分けで,アマダマシ,パープル・ローブは挿木または実生で殖やす。
執筆者:柳 宗民
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報