日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハッショウマメ」の意味・わかりやすい解説
ハッショウマメ
はっしょうまめ / 八升豆
[学] Mucuna pruriens (L.) DC. var. utilis (Wall. ex Wight) Burck
Stizolobium hassjoo Piper et Tracy
マメ科(APG分類:マメ科)の一年草。オシャラクマメともいう。つるは支柱に巻き付いて2~4メートルとなる。葉は3枚の小葉からなる複葉である。葉腋(ようえき)に花序をつけ、3~4センチメートルの黒紫色花が約10個開く。莢(さや)は短毛に覆われ、長さ約10センチメートル、5~10本が房束になってつく。完熟すると莢は黒色となり、しわが寄るが裂開はしない。豆は灰白色で長さ約2センチメートル、へそは隆起して白色、1莢に5~6粒入っている。熱帯アジア原産で、主栽培地は東南アジア。日本へは八丈島を経て伝わったといわれ、そのため八丈豆の呼び名がのちになまってハッショウマメになったという。また、1本の木から8升の豆がとれるからともいわれる。17世紀ころから西南暖地での栽培の記録があるが、現在ではほとんど栽培されていない。東南アジアでこの豆を食べる地域では、豆をよく水煮してあくを除いてから食べ、きんとんや餡(あん)などにするが、多食は有害といわれる。また、茎葉を飼料や緑肥とする。
[星川清親 2019年11月20日]