へそ

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

へそ
へそ / 臍

腹壁の正中線上を走る白線の中央よりやや下方にある小さなくぼみで、臍窩(さいか)ともいう。白線とは胸骨の剣状突起から恥骨結合まで上下に走る紐(ひも)状の腱索(けんさく)をさし、左右の腹直筋鞘(しょう)の結合組織性線維が交錯し、癒合してできたものである。臍窩の底には小さい高まりとして臍乳頭がみられる。これは臍帯(へその緒)の残った部分で、出産直後、臍帯内の動脈・静脈が閉鎖し、瘢痕(はんこん)組織となり、皮膚に覆われるようになったものである。臍乳頭の部分は皮下組織も少なく、脂肪もないので、腹壁面よりへこむ状態となる。したがって、臍乳頭の周囲には臍窩の壁ができるが、これを臍輪という。また、へその部分の白線は臍輪によって貫通された形となる。新生児の場合、臍輪は、通常生後数日で著しく狭くなり、白線の部分も緊張するので内臓は脱出しにくくなるが、臍輪が広いままだと、この部分の組織は腹筋筋膜と腹膜のみであるため、腹圧には弱く、臍(さい)ヘルニアをおこすことがある。

 臍ヘルニアは発育途中の新生児(一般には生後6か月以内)に多くみられる。成人の臍ヘルニアは肥満者、妊婦、腹水のたまった者などにみられるが、これは臍輪の結合組織が伸展して臍ヘルニアをおこしたものである。へその語源は「ほぞ」の清音「ほそ」が転じたものといわれ、現在でも「ほぞをかむ」などの語句が残されている。

[嶋井和世]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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