知恵蔵 「ハビタブル惑星」の解説
ハビタブル惑星
銀河系に惑星は約1000億個あると考えられており、HZにある惑星のうち、組成や温度環境が地球に似たものでは地球外生命が見つかるのではないかとの期待の下、探索が進められている。
2015年7月23日、米航空宇宙局(NASA)の宇宙望遠鏡「ケプラー」が、はくちょう座の方向1400光年に位置する恒星「ケプラー452」のHZ付近で、系外惑星「ケプラー452b」を発見した。大きさ、質量、中心星からの距離など様々な点で、これまで知られている系外惑星として最も地球に似ていることから、「地球のいとこ」と呼ばれている。
17年2月22日、NASAは、ヨーロッパとアメリカの研究者を中心とする研究グループが、みずがめ座の方向、地球から39光年離れた太陽系外惑星系に地球型惑星を7個発見したと発表した。中心星は赤色矮星「TRAPPIST-1」(トラピスト1)で、研究グループが16年秋にNASAのスピッツァー宇宙望遠鏡を使って行った、およそ500時間の連続観測により惑星の発見に成功した。
トラピスト1の惑星のうち三つはHZにあり、一つの恒星のHZにある惑星の数としては、これまで発見された中で最多である。七つの惑星とトラピスト1との距離は、いずれも太陽と水星との距離よりも小さく、互いに近い距離を公転しており、全て地球型惑星である。トラピスト1は、質量が太陽の8%ほどと小さく、表面温度も低いことから、大気の組成によっては七つの惑星のいずれにも海が存在する可能性がある。中でもHZにある三つの惑星は、ハビタブル惑星である可能性が高い。ケプラー452に比べて太陽系との距離が近いことから、今後の研究が進みやすいと考えられる。
(葛西奈津子 フリーランスライター/2017年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報