日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハンソン」の意味・わかりやすい解説
ハンソン(Per Albin Hansson)
はんそん
Per Albin Hansson
(1885―1946)
スウェーデンの出版人、政治家。青年時代にスウェーデン社会民主労働者党青年同盟の幹部となり、のちに同党の機関誌『ソシアルデモクラーテン』の主幹として健筆を振るった。1918年に国会議員に当選、おもに防衛問題に取り組み、1920年、同党が初めて政権を担当した際、防衛大臣に任命された。1925年に党首ブランティングが死去すると党首に選出され、前党首の穏健路線を踏襲した。1932年に首相になったが、当時の経済危機を打破するため農民党と連立政権を樹立して失業対策、農業振興政策を推進し、不況を乗り切った。1936年の第二院選挙で同党は躍進したが、農民党を入閣させるほど柔軟な態度を示した。第二次世界大戦が勃発(ぼっぱつ)すると、保守勢力と協力して超党政権を担当して挙党一致で国防にあたり、中立を堅持した。1946年、首相在任中に急死。短期の中絶(1936年6~9月)を除き、14年間にわたり政権を担った。野党との交渉に優れた手腕を発揮し、和の政治を徹底させて同国の中立政策、福祉政策の基盤を築き、野党や国民からも広く親しまれた。
[清原瑞彦]
ハンソン(Duan Hanson)
はんそん
Duan Hanson
(1925―1996)
アメリカの彫刻家。ミネソタ州アレクサンドリアに生まれる。ワシントン大学などで美術を専攻したのち、1960年代末からジョージ・シーガルの影響で色彩彫刻を発表し始める。「ハイパー・リアリズム」の代表的彫刻家で、現実の人体から型取りして鋳型で正確に再現された像に色彩を塗り、髪の毛や衣服をまとわせて本物そっくりのイリュージョン(幻影)をつくりだす。60年代には黒人暴動、浮浪者などを主題に社会意識の強い作品を発表したが、70年代以降は現代アメリカの典型的市民の日常的動作をとらえ、心理的陰影の濃い作風を生み出した。
[石崎浩一郎]