日本大百科全書(ニッポニカ) 「バウムクーヘン」の意味・わかりやすい解説
バウムクーヘン
ばうむくーへん
Baumkuchen ドイツ語
ドイツの伝統的菓子。「木の菓子」の意。シヒトトルテSchichttorte(層の菓子)またはバウムクーヘントルテBaumkuchen Torteともいう。昔ドイツで、野外でつくったといわれ、マツの木を燃やして、その自然の香りを移しながら焼いたともいわれている。切り口は木の年輪状になっており、ドイツ最高の銘菓とされ、誕生日などに長寿を祝う菓子としても使われている。日本には第一次世界大戦のとき、捕虜となったドイツ兵のパン職人が伝えたともいわれている。作り方は、特殊なバウムクーヘン焼物器で焼き上げる。ローラーにケーキ生地(きじ)をかけて回しながら焼き、焼き色がついたらまた生地をかけて焼く。20回ほど繰り返し、層ができるように焼き上げる。生地の配合や火の加減がむずかしく、年季の入った職人でなければなかなかできない。仕上げにケーキの乾燥を防ぐために、アンズジャムを薄く塗って粉砂糖をかける。好みに切り分けて食べるが、しっとりとした滑らかさを好むときには、ホイップクリームを添える。
[小林文子]