日本大百科全書(ニッポニカ) 「バウム」の意味・わかりやすい解説
バウム(Vicki Baum)
ばうむ
Vicki Baum
(1888―1960)
オーストリアの女流作家。ウィーン生まれ。ハープ奏者だったがのちに小説を書き始め、1929年、長編小説『グランド・ホテル』が大ベストセラーになった。これは豪華ホテルの宿泊客たちの人生模様を巧みな筋立てと感傷とユーモアで描いたもので、日本でも第二次世界大戦前、牧逸馬(まきいつま)(林不忘(ふぼう))により翻訳された。次の長編小説『乙女の湖』(1932)はフランスで映画化され、バウムの名を世界的にした。
[榊原晃三]
『植田敏郎訳『乙女の湖』(1957・東京創元社)』
バウム(Lyman Frank Baum)
ばうむ
Lyman Frank Baum
(1856―1919)
アメリカの作家。ニューヨークに生まれる。新聞記者、編集者、出版業、俳優、セールスマン、劇場支配人、プロデューサー、雑貨店主、劇作家などを経てのち、子供向けに書いた『Mother Goose in Prose』(1897)、『Father Goose, His Book』(1899)で好評を得、さらに『オズの魔法使い』で大成功した。オズのシリーズを14冊(ほかに他人によるもの26冊)書いたほか、男性名と女性名両方の筆名を用いて30冊の子供向け創作があり、戯曲や詩も多い。また大人向けの作品も数多い。
[松野正子]