晩夏(読み)バンカ(その他表記)Der Nachsommer

デジタル大辞泉 「晩夏」の意味・読み・例文・類語

ばん‐か【晩夏】

夏の終わり。夏の末。 夏》「紅くして黒き―の日が沈む/誓子
陰暦6月の異称

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精選版 日本国語大辞典 「晩夏」の意味・読み・例文・類語

ばん‐か【晩夏】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 夏の終わりごろ。夏の末。《 季語・夏 》
    1. [初出の実例]「晩夏神泉苑同勒深臨陰心製一首」(出典凌雲集(814))
    2. [その他の文献]〔駱賓王‐晩泊江鎮詩〕
  3. 陰暦六月の異称。〔色葉字類抄(1177‐81)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「晩夏」の意味・わかりやすい解説

晩夏
ばんか
Der Nachsommer

オーストリア作家シュティフター長編小説。1857年刊。ヘッベルによって、読み終えた者には「ポーランド王冠を与える」と酷評され、ニーチェには、繰り返し読むに値する「ドイツ散文の宝」と賞賛されたこの作品は、広義教養小説系譜を引いて、人間の魂の発展を描いた。青年ハインリヒが学問・芸術・愛へと開眼してゆく過程と、導き手の男爵リーザハとマティルデの過去の恋の物語とが、バラの館(やかた)を舞台に互いに織り合わされながら、冬と死を控えた晩秋に訪れる、夏の日々にも比せられる晩夏の「精神的」風土のうちに語られる。それは過ぎ去った夏と青春を惜しむ老年挽歌(ばんか)であり、その挽歌にはぐくまれた青春の賛歌でもある。

谷口 泰]

『宇田五郎訳『晩夏』全二巻(1949、50・桜井書店)』『藤村宏訳『世界文学全集31 晩夏』(1979・集英社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「晩夏」の意味・わかりやすい解説

晩夏
ばんか
Der Nachsommer

オーストリアの作家 A.シュティフターの小説。3巻。 1857年刊。教養を重んじる家庭に育ったハインリヒは,アルプスの高原で知合った男爵によって自然の観察を教えられ,文学や美術に目を開かれて,次第に人間として成熟し,美しいナターリエと結婚する。いわゆる教養小説の代表的な作品。

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デジタル大辞泉プラス 「晩夏」の解説

晩夏

赤川次郎の長編ミステリー。2000年刊行。

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世界大百科事典(旧版)内の晩夏の言及

【ナツミカン(夏蜜柑)】より

…ニューセブン,立花オレンジ,甘夏つるみともいう),果面の橙色が濃いもの(紅甘夏),果皮色素がいっそう紅色に変異したもの(サマーレッドなど)がある。(2)晩夏(おそなつ) 夏までに果実に緑色が残り,す上がりしにくい系統(田島晩夏)。(3)無核夏 種子がないもの(土屋系,山路系)。…

【シュティフター】より

…以後オーバーエスタライヒ州の視学官として教育改革に情熱を注ぐ。激務の合間に刊行された短編集《石さまざま》(1853)は,その序文に説かれている彼の世界観〈おだやかな法則〉によって知られ,恵まれた環境での人間の内的形成の理想像を描いた教養小説《晩夏》(1857)は,ヘッベルに酷評されたが,ニーチェはドイツ散文文芸の至宝としてたたえた。作品の評価をめぐる対立は,根本的には今日もなお続いている。…

※「晩夏」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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