バネルジー(読み)ばねるじー(その他表記)Surendranāth Banerjī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バネルジー」の意味・わかりやすい解説

バネルジー
ばねるじー
Surendranāth Banerjī
(1848―1925)

インド政治家ベンガルのクリン・ブラーフマン・カースト出身カルカッタ大学卒業後、イギリスに渡ってインド文官職ICS)の試験に合格して帰国。文官勤務に入るが、イギリス人上司の人種差別的措置によって解雇され、その後カルカッタ(現コルカタ)で自らカレッジを開いたりして青年の教育に努め、1876年にはインド協会を設立し、ベンガルを中心に民族主義的活動を開始した。1883年にはカルカッタで全インド国民協議会の設立に努めたが、1885年のボンベイ(現ムンバイ)での全インド国民会議派結成後は積極的にこれに参加し、以後会議派内の親英的な穏健派グループの重鎮となった。1895年と1902年に国民会議派議長を務める。第一次世界大戦後の1918年に国民会議派内の穏健派グループを率いてこれを脱退し、国民自由連盟を結成。同年イギリスからナイト称号を与えられた。著書に自伝的な『インド国民形成史』がある。

内藤雅雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「バネルジー」の意味・わかりやすい解説

バネルジー
Surendranāth Banerjī
生没年:1848-1925

インドの政治家。ベンガルの出身。カルカッタ大学卒業後,渡英してインド文官職(ICS)の試験に合格。帰国して文官勤務に入るがイギリス人上司の人種差別的措置のため解雇される。このあとカルカッタにカレッジを開くなど,青年の教育につとめる。1883年に全インド国民協議会設立を推進するが,85年にボンベイで国民会議派が結成されてからはこれに参加し,以後国民会議派内の親英的穏健派の代表となる。95年と1902年に国民会議派議長。第1次大戦後の18年に国民会議派内の穏健派グループを率いて,新たに国民自由連盟を結成。同年イギリスからナイトの称号を与えられた。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バネルジー」の意味・わかりやすい解説

バネルジー
Banerjea, Sir Surendranath

[生]1848.11.10. カルカッタ
[没]1925.8.6. バラクプル
インドの民族運動初期の指導者。 1869年文官勤務となったが2年間で解職され,76年インド人協会を設立し,文官任用の人種的差別に抗議した。 83年おもに彼の奔走により全インド国民協議会がカルカッタで開催された。また国民会議にも参加。 93年ベンガル立法参事会委員となる。 1905年のベンガル分割に反対し,スワラージ運動を支持。 18年インド国民会議派から分れ,穏健分子による国民自由連合を結成した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「バネルジー」の解説

バネルジー
Surēndranāth Banarjī

1848〜1925
インドの政治家。国民会議派初期の指導者
イギリスでインド高等文官試験に合格したが,イギリス当局により解雇され,のち,政治運動に参加する。1885年の国民会議派結成に加わり,親英的穏健派として活躍。1895,1902年には会議派議長となるが,18年に脱退して国民自由連盟を結成した。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「バネルジー」の解説

バネルジー

バナジー

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世界大百科事典(旧版)内のバネルジーの言及

【タイムズ】より

…その主張は,内閣の存続にも多大の影響を与える巨大な言論・情報機関となった。 しかし,87年アイルランド独立運動指導者で下院議員でもあるC.S.パーネルがテロリズムを扇動している書簡を紙上に公表し,激烈な攻撃を加えたが,その後の調査で実はこの書簡類が偽造されたものであることがわかり,経済的にも多大の損失を被り,また道義的にも大きく権威を失墜した。その後は新興の大衆新聞に押されて下降線をたどり,ついに1908年,その潮流の代表者ノースクリッフによって買収された。…

【ボイコット】より

…1880年の農業不況という状況のなかで,土地同盟は土地差配人に小作料引下げを要求。要求を拒否した土地差配人に対しては,C.S.パーネルの指導の下に,暴力に訴えるのではなく,土地差配人との関係(経済的関係から近所づきあいに至るまで)をいっさい断つという戦術をとった。この戦術の最初の対象が,小作人を土地から追放しようとしたボイコットであったため,以後この戦術の名称として英語はもとよりヨーロッパ諸語に定着した。…

※「バネルジー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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