ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
政治権力の獲得・保持や政策決定における影響力の行使といった一定の政治的目標の達成に向けて展開される組織的な運動をいう。このことから、政治運動は、
(1)既成の政治権力を転覆させて新たな政治権力を生み出そうとする革命運動
(2)既存の政治権力・政治体制に一定の改良・改革をもたらそうとする運動
(3)既成の権力を承認したうえで、もっぱら政策決定への影響力行使を目ざす運動
に分けられるが、これらの運動はいずれも集団組織性、継続性を有している点で共通する。したがって、権力の獲得や政策決定に直接的にはかかわらずに、広範な世論の形成なり喚起を目ざす社会運動や大衆運動、あるいは一揆(いっき)、クーデター、騒擾(そうじょう)、暴動といった継続性をもたない偶発的行動とは概念上、区別される。
しかし、事実上、社会運動や大衆運動と政治運動とを区別することは困難である。なぜなら、平和運動、宗教運動、消費者運動、女性運動、学生運動などが、本来はそれぞれ特定の問題や利益の枠を超えて政策批判や改革、さらに立法獲得といった政治的目的を明確にし、組織性を高めて継続的な政治運動へと向かうことが少なくないこと、つまり、現代にあっては社会運動、大衆運動は多かれ少なかれ政治運動に転化する可能性をもっているからである。一揆やクーデターあるいは一時的な抗議運動なども、状況によって大規模な政治運動を誘発し、そのなかに吸収されることもありうる。
政治運動は基本的に政治権力をめぐる運動であるために、自発的な社会集団活動によって形成される社会運動、大衆運動から発展するばかりでなく、政治権力を保持する側から創出される場合もある。イタリア・ファシズムやドイツ・ナチズムは当初、小さな徒党の活動をしだいに政治運動化して政権を獲得し、政権獲得後もその維持・強化を図るべく、国民規模の政治運動へと連続させていった。このようにファシズム、ナチズムは「下から」の自発的運動と「上から」操作された運動の両方向を有した一大政治運動とみなすことができよう。政治運動はいずれの形態であれ、通常、運動の正当性を確保するための大義名分、イデオロギー、教義、シンボルなどを伴うが、権力側から創出される政治運動では、世論を操作したり運動の本質を覆い隠すためにこれらが宣伝の手段として計画的に使用される。
政治運動は地理的・歴史的条件や政治文化の違いに応じて種類、規模の大小はさまざまであり、世界政府運動、全欧州反核運動のような国際的政治運動から、政党化しつつある環境保護運動、小規模には地域団体・圧力団体などによる政治運動に及ぶ。なお、政治運動の形態や戦略・戦術の選択は、結社権、団結権、表現の自由などの市民的・政治的自由の許容度に依存し、わが国第二次世界大戦前の普選運動には普選法立法化の成功が治安維持法を生み、戦後の安保闘争が警職法、破防法を生んだように、運動の規制、抑圧、さらには弾圧との緊張関係をつねにはらんでいる。
[中野 実]
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
12/21 デジタル大辞泉を更新
12/21 デジタル大辞泉プラスを更新
12/10 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/28 デジタル大辞泉プラスを更新
10/28 デジタル大辞泉を更新
10/27 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新