改訂新版 世界大百科事典 「バラビンスクステップ」の意味・わかりやすい解説
バラビンスク・ステップ
Barabinskaya step'
ロシア連邦,シベリア南西部,イルティシ川(西)とオビ川の本流(東)の間にひらける広大な草原。その大半はノボシビルスク州に,一部はオムスク州などにまたがる。面積約11万7000km2,最高点は標高150m。大半は90~150m弱の平原であるが,北東~南西に並行して走るケスタ状の隆起が無数に見られ,川もその間の低地に沿って北東から南西に並行して流れる。また2000をこえる大小さまざまな湖沼があり,その一部は塩湖である。1月の平均気温-19℃,7月18℃,年降水量は北部で450mm,南西部で270mm程度。湿潤帯と乾燥帯の境界にあたる。植生は北部ではシラカバの小塊状の林の間にミズゴケを主とする湿原が散在し,南部では疎林と草原の混在か,単純な草原となり,自然景観にも大きな特徴がみられる。さらに南にいくとなお乾燥したクルンディンスク・ステップに移行する。バラビンスク・ステップは現在しだいに開拓されており,西シベリアの重要な穀作・乳酪農業地帯となっている。おもな都市はノボシビルスクとオムスクの中間にあるバラビンスクである。
執筆者:渡辺 一夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報