略称VE。価値工学と訳すこともある。求める機能を最少の資源コストで実現するため、製品の価値に関連する諸要因とその製品のコストに関連する諸要因の関係を徹底的に分析検討し、製品価値を相対的に高める一連の手法をいう。ここでいう価値とは、製品の機能に対するコストの比であると考えられるが、VEでは製品機能は一定とし、品質を維持しながらコストを変動させ、極小化することを考える。したがってVEは、創造力を駆使しながら原材料や設計を変えてコストダウンの可能性を追求する。そのために、たとえば、〔1〕この部分はなにか、〔2〕どんな機能(働き)をするのか、〔3〕そのコストはいくらか、〔4〕その機能を果たすもっとよいものはないか、〔5〕そのコストはいくらか、というような問題に関して分析的検討を反復する。このような分析面を重視した場合には、バリュー・アナリシスvalue analysis(略称VA)ないし価値分析とよばれる。
VEは、1946年アメリカのゼネラル・エレクトリック(GE)社のD・ミルズを中心に開発された手法であるとされている。開発の動機は、GE社のある工場で、ペンキ塗装のときに床に敷く高価なアスベストを不燃性の紙で代用し、同じ機能をはるかに低いコストで実現したことにあるといわれる。このことが、製品の開発・設計に拡大・応用されてVEの理論が生まれた。一般に、製造工程の自動化が進んでくると、製造工程そのものからのコストダウンの余地はしだいに小さくなっていく。そこで、製造工程外のコストダウンの機会の探索に目が向けられるようになる。VEはこのような製造工程外のコストダウンの手法である。
[森本三男]
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出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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