バーコフ(読み)ばーこふ(英語表記)George David Birkoff

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーコフ」の意味・わかりやすい解説

バーコフ
ばーこふ
George David Birkoff
(1884―1944)

アメリカの数学者。ハーバード大学およびシカゴ大学に学び、のちプリンストン大学教授、ついでハーバード大学教授となった。19世紀の終わりごろから、ポアンカレ、ついでリャプノフАлександр Михайлович Ляпунов/Aleksandr Mihaylovich Lyapunov(1857―1918)らが定性的・位相的な方法を導入して大きな発展をみた微分方程式論であるが、バーコフもこれを研究し、定性的・位相的方法を受け継ぎ、ポアンカレの未完定理も証明して、1912年には力学系理論をつくりだしてこの分野に大きな貢献をした。

 そのほか、1931年に示した「エルゴード定理」の成立条件も、優れた開拓的業績として知られている。これは統計力学の基礎づけに大きく寄与したものである。

藤村 淳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「バーコフ」の意味・わかりやすい解説

バーコフ
Birkhoff, George David

[生]1884.3.21. ミシシッピ,オベライセル
[没]1944.11.12. マサチューセッツ,ケンブリッジ
アメリカの数学者。シカゴ大学とハーバード大学に学んだ。ウィスコンシン大学 (1907~09) ,プリンストン大学 (09~12) で教え,さらにハーバード大学に移って終生その職にあった。業績は非常に広範囲にわたる。「ポアンカレの最後の定理」の証明など制限三体問題,重力理論に関する重要な研究,個別エルゴード定理の定式化,常微分方程式,その他美学を数学的に扱った研究があり,彼はそれを美術,音楽,詩に適用した。アメリカ数学会会長 (24~26) 。アメリカ科学振興協会会長 (36~37) 。主著相対論と新しい物理学』 (23) ,『力学系』 (28) ,『美の測度』 (33) 。

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