日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーレスク」の意味・わかりやすい解説
バーレスク
ばーれすく
burlesque
本来は文学、演劇、音楽などにおいて、正統的な作品を改作、戯画化したもので、もじり詩、風刺文、戯作、茶番狂言などをいうが、今日一般には各種のショーの間に挿入されるコントや物真似(まね)など大衆的な演芸を称していう。興行全体をさすこともあり、この場合はバラエティ、ボードビルなどと区別しがたい。「悪ふざけ」「冗談」の意のイタリア語ブルラburlaから発したブルレスコburlescoがフランス語ビュルレスクburlesqueとなり、さらに英語化したもので、ドイツではブルレスケBurleskeという。
その起源は古代ギリシアのホメロスの作品にもみられるが、16世紀のイタリアにこの種の傾向が生まれ、ベルニ、カポラーリらの作家が活躍した。1630年ごろからフランスへ入って流行、スカロン、ダスシらビュルレスク派とよばれる作家たちが登場、いわゆるパロディー形式を生み出した。イギリスでもジョン・ゲイ、フィールディング、シェリダンらが現れ、一時正統演劇をしのぐほどの勢いをみせたが、その後しだいに本来の風刺精神を失い、19世紀に入ると単なる大衆向けの娯楽劇と化し、今日のような形式へと変容した。アメリカでは裸ショーと同義で、わが国でもストリップショーの代替語としてしばしば使われている。
[向井爽也]