パロロ
palolo
多毛綱に属する環形動物で,生殖時期に海面を群泳しながら生殖を行う生殖型個体をいう。日本では,このような個体を,バチ,エバ,ウキコなどと呼んでいる。ゴカイ科のイトメは日本パロロ(英名Japanese palolo)といわれ,11月と12月にみられる。イソメ科のPalola siciliensisは,太平洋パロロ(英名Pacific palolo)と呼ばれ,本州中部以南からインド洋,西太平洋,地中海,大西洋に広く分布している。また同じイソメ科のEunice schemacephalaは大西洋パロロ(英名Atlantic palolo)と呼ばれ,フロリダ,ジャマイカなどでみられる。
パロロは体内に卵または精子を充満させ,海面を群泳しながら卵や精子を海中に放出して生殖を行う。形態は未成熟の個体とはかなり変形している。南方の国では,このパロロを食用にするところもある。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
パロロ
ぱろろ
palolo
環形動物門多毛綱のゴカイ科やイソメ科の種類で、生殖時期に海面を遊泳する雌雄の生殖型個体をいう。バチ、エバ、ウキコなどともよぶ。水中を遊泳しながら、卵または精子を放出して生殖が行われるが、このような個体は、いぼ足や剛毛が遊泳しやすいように幅広い形に変形している。イトメの生殖型個体を日本パロロJapanese paloloとよび、Palola siciliensisを太平洋パロロPacific palolo、またEunice schemacephalaを大西洋パロロAtlantic paloloという。釣り餌(え)に用いるほか、南方の現地人はバナナの葉に巻いて焼いて食べる。
[今島 実]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
パロロ
palolo
環形動物門多毛綱遊在目イソメ科の動物のうち,体の一部に生殖物をたくわえて一斉に生殖群泳をする生殖型個体をいう。日本近海には太平洋パロロ Palola siciliensisと日本パロロ Neanthes japonicaがみられ,フロリダ,ジャマイカでは大西洋パロロ Eunice schemacephalaがみられる。 (→イソメ , 多毛類 )
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
世界大百科事典(旧版)内のパロロの言及
【月周リズム】より
…月の位相と関連した生命現象は海岸の生物に広く見られるもので,すでに古代のギリシアや中国で知られていた。フロリダ地方の浅海底に生息するイソメ科のEunice fucataは6月下旬から7月下旬の下弦の月のころに生殖群泳を行い,これは大西洋パロロpaloloと呼ばれ古くから知られている。日本産のイトメも10月から11月の新月と満月の数日後に生殖群泳を行う。…
【月周リズム】より
…月の位相と関連した生命現象は海岸の生物に広く見られるもので,すでに古代のギリシアや中国で知られていた。フロリダ地方の浅海底に生息するイソメ科のEunice fucataは6月下旬から7月下旬の下弦の月のころに生殖群泳を行い,これは大西洋パロロpaloloと呼ばれ古くから知られている。日本産のイトメも10月から11月の新月と満月の数日後に生殖群泳を行う。…
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