ヒエロン2世(読み)ヒエロンにせい(その他表記)Hierōn II

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒエロン2世」の意味・わかりやすい解説

ヒエロン2世
ヒエロンにせい
Hierōn II

[生]前306?
[没]前216/前215
古代シチリアシラクサ (シラクーザ ) の王 (在位前 270頃~216/5) 。エピルス王ピュロス侵入に対抗,さらに前王アガトクレスの雇ったカンパニアの傭兵隊マメルティニを撃退,シラクサを守った功績により王に推された。前 264年メッシナ進出をはかりカルタゴと組んでローマと戦ったが敗退。前 263年ローマと和し,条約によってシチリアの南東部の支配を認められ,その死までローマに忠誠を保った。すぐれた船団を擁しポエニ戦争でローマを援助。また有名な数学者アルキメデスを用い,シラクサ防衛の道具を発明させた。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヒエロン2世」の意味・わかりやすい解説

ヒエロン[2世]
Hierōn Ⅱ
生没年:前306ころ-前215

シラクサの王。在位,前269-前215年。マメルティニ一族に対する勝利により王位につく。ローマの進出に対して初めカルタゴと同盟するが,前263年以降はローマの同盟国となり,ポエニ戦争にも協力した。軍船増強やアルキメデスを用いての防備強化などを行った54年におよぶ彼の治世は,シラクサに繁栄をもたらした。〈ヒエロン法典〉は農産物に対する十分の一税を定めたものとして有名である。
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世界大百科事典(旧版)内のヒエロン2世の言及

【シラクザ】より

…市域の拡大(ネアポリスの建設)をはじめ,前480年には宿敵カルタゴをヒメラに破り,ギリシア世界で最強の国家となる。彼を継いだ弟のヒエロン1世は文芸を擁護し,アイスキュロス,ピンダロス,シモニデスらの文人を招請した。前5世紀後半にほぼシチリア全島と南イタリアの一部を勢力下に収めたシラクサは,ギリシア世界の盟主アテナイと衝突するまでになり,その壮烈な戦いはトゥキュディデスの作品にみごとに描かれている。…

※「ヒエロン2世」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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