岩手県南西部、胆沢郡(いさわぐん)にあった旧町名(前沢町(ちょう))。現在は奥州(おうしゅう)市の南部中央寄りに位置する地域。1889年(明治22)町制施行。1955年(昭和30)同郡古城(こじょう)、白山(しらやま)の2村、東磐井(ひがしいわい)郡生母(せいぼ)村と合併。2006年(平成18)水沢市(みずさわし)、江刺市(えさしし)、胆沢郡胆沢町、衣川村(ころもがわむら)と合併して奥州市となった。JR東北本線、国道4号、東北自動車道が通じ、平泉前沢インターチェンジがある。江戸時代は仙台藩領で、奥州街道の宿駅、北上(きたかみ)川舟運の河港として栄えた。東部を縦貫する北上川流域を中心に米作を主とする耕地が広がり、ムギ、大豆、野菜づくりも盛んで前沢牛の飼育も行われ、9月中旬に前沢牛まつりが開かれる。1995年(平成7)開館の「牛の博物館」がある。農業構造改善事業(経営構造対策)を導入し、北上川治水対策と相まって農業の基盤強化が図られ、前沢バイパス沿いに誘致企業の立地もみられる。東方の束稲山麓(たばしねさんろく)には観光用道路の束稲ゴールドラインが走る。
[金野靜一]
『『前沢町史』1~4(1974~ ・前沢町)』
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