ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ピュロス」の意味・わかりやすい解説
ピュロス
Pyrrhos; Pyrrhus
[没]前272
古代エピルスの王 (在位前 307~302,前 297~272) 。 12歳で王位についたが5年後に簒奪され,デメトリオス1世に従ってアジアへ行き,その後人質としてアレクサンドリアへ送られ,そこでプトレマイオス2世フィラデルフォスの娘アンチゴネと結婚,彼の援助を得て王位に復帰 (前 297) 。次に,エピルスのマケドニアからの解放を試み,またマケドニアの内紛を利用して国境地方の山地を獲得。その後もコルキュラ,マケドニアの西半分,テッサリアと領土を拡張し,アイトリアやアテネと同盟も結んだが,リュシマコスによりエピルスへと押し返された (前 285) 。一時イタリアへの介入を試み,シチリアまで進撃した (前 280~275) が,再びエピルスへ帰還。マケドニア征服を試みたが,次いで突如ペロポネソスに転じ,スパルタの包囲に失敗してアルゴスで殺された。アンブラキアを首都とし,ドドナには大劇場を建設,エピルスのギリシア化をなしとげた。また,戦記や戦術論を書いたが,断片しか残っていない。
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