ヒメコトヒキ(読み)ひめことひき(その他表記)largescaled terapon

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒメコトヒキ」の意味・わかりやすい解説

ヒメコトヒキ
ひめことひき / 姫琴引
largescaled terapon
[学] Terapon theraps

硬骨魚綱スズキ目シマイサキ科に属する海水魚。茨城県以南の太平洋岸、秋田県以南の日本海岸、南西諸島、小笠原(おがさわら)諸島、朝鮮半島、台湾の沿岸、南シナ海、西・南太平洋、インド洋、紅海に分布する。最大の全長は約32センチメートルで、普通は22センチメートル。体は楕円(だえん)形で側扁(そくへん)し、吻(ふん)はとがる。口は小さく、上顎(じょうがく)の後端は目の前縁下に達する。両顎の歯は円錐歯(えんすいし)で歯帯をなし、外列歯は肥大する。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の縁辺は鋸歯(きょし)状。主鰓蓋骨の棘(とげ)は大きくて強く、鰓膜の後縁を越える。後側頭骨は大きく、露出し、後縁は鋸歯状。鱗(うろこ)は大きく、側線有孔鱗(ゆうこうりん)数は46~56枚。体は背側面が銀灰色で、腹側面は銀白色。体側面に4条の黒色の縦帯が平行してまっすぐに走る。背びれには、棘(きょく)部の第3~7棘と第9~10棘の鰭膜(きまく)の先端部にそれぞれ1個の黒斑(こくはん)、軟条部の先端部に3個の小黒斑がある。尾びれに5条の暗色の縦帯がある。内湾、沿岸の浅海域、河口汽水域に生息し、底生の小形無脊椎(むせきつい)動物や魚類を食べる。定置網投網(とあみ)、釣りなどで漁獲され、焼き物煮物など家庭料理にされる。体やひれ斑紋コトヒキによく似るが、コトヒキの体側にある3条の縦線は弓形であるのに対してヒメコトヒキでは直走する。また、コトヒキの側線有孔鱗数は75~100枚であるのに対して、ヒメコトヒキでは46~56枚である。この仲間はうきぶくろで発音する。

[赤崎正人・尼岡邦夫 2017年9月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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