ビシネフスカヤ

百科事典マイペディア 「ビシネフスカヤ」の意味・わかりやすい解説

ビシネフスカヤ

ロシア(ソ連)のソプラノ歌手。レニングラード(現サンクト・ペテルブルク)で生まれクロンシタットで育つ。16歳で初めて声楽を学び,地方回りのオペレッタ一座で4年間歌ったのち1952年ボリショイ劇場のオーディションに合格。すぐさまプリマ・ドンナ抜擢(ばってき)され,1953年《エフゲーニー・オネーギン》のタチヤーナ,翌1954年ベートーベンの《フィデリオ》のレオノーレポクロフスキー演出で演じる。以後ボリショイ劇場を代表する歌手として活躍する一方,メトロポリタン歌劇場,ミラノのスカラ座にも客演し名声を高めた。1962年にはブリテンの《戦争レクイエム》初演に参加。1974年ソルジェニーツィン擁護のかどで夫ロストロポービチとともにソ連を追われ,4年後には国籍を剥奪(はくだつ)されるが1989年に復権。1984年に刊行された自伝は,ソ連社会の実態を克明につづった貴重な証言となっている。1970年に初来日。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビシネフスカヤ」の意味・わかりやすい解説

ビシネフスカヤ
びしねふすかや
Галина Павловна Вишневская/Galina Pavlovna Vishnevskaya
(1926―2012)

ロシア出身のソプラノ歌手。生地レニングラード(現、サンクト・ペテルブルグ)で学び、1944年同地でデビュー。1952年以後はモスクワのボリショイ劇場に属し、1960年代初めから欧米各地の主要歌劇場にも出演、旧ソ連を代表するソプラノ歌手としての名声を確立した。1974年、夫のチェロ奏者ロストロポービチとともに国外に移住、1978年、当時のソ連政府から国籍を剥奪(はくだつ)された。表情豊かで、個性的な声、洗練された技巧、ドラマチックな演技力をもち、モーツァルトベルディプッチーニプロコフィエフ(『戦争と平和』のナターシャ)、ショスタコビチなどの作品を得意とした。また、しばしば夫ロストロポービチのピアノ伴奏で歌った、ムソルグスキー以後のロシア歌曲の解釈も高く評価された。1965年(昭和40)に初来日している。

[美山良夫]

『ガリーナ・ヴィシネフスカヤ著、和田旦訳『ガリーナ自伝――ロシア物語』(1987・みすず書房)』『ロストロポーヴィチ、ヴィシネフスカヤ著、田中淳一訳『ロシア・音楽・自由』(1987・みすず書房)』

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