ポクロフスキー

百科事典マイペディア 「ポクロフスキー」の意味・わかりやすい解説

ポクロフスキー

ロシアソ連)のオペラ演出家。モスクワ出身。メイエルホリドに私淑し,ゴーリキー劇場の芸術監督を経て,1943年−1963年ボリショイ劇場で演出総監督などを務める。同劇場を追われ,1972年〈モスクワ・シアター・オペラ〉をR.K.シチェドリン作品で旗揚げ以来,旧ソ連当局の干渉に抗しつつ斬新(ざんしん)な舞台を手がけ,世界の注目を集めた。1989年ボリショイ劇場にも復帰。1974年に復活再演したショスタコービチの《鼻》,ロストロポービチ指揮で初演されたシュニトケの《狂気との生活》(1992年)などは日本公演でも話題を呼んだ。→ビシネフスカヤ

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改訂新版 世界大百科事典 「ポクロフスキー」の意味・わかりやすい解説

ポクロフスキー
Mikhail Nikolaevich Pokrovskii
生没年:1868-1932

ソ連邦の歴史家。1891年モスクワ大学文学部を卒業し,ロシア史家の道を歩んだ。反政府的傾向をつとにあらわし,政府に講義を禁じられた。1905年社会民主労働党に入党し,ボリシェビキに属したが,06年ボグダーノフ派の知識人グループに加わり,レーニンと対立した。反動期に代表作《最古よりのロシア史》5巻(1910-13)を出し,第1次大戦中に《ロシア文化史概説》2巻(1915-18)を著した。十月革命後は終生教育人民委員代理の職にあり,マルクス主義に立つソビエト歴史学界の最高指導者となった。《簡略ロシア史》(1923)はレーニンの評価もうけ,権威をもった。独特な商業資本主義論によってツァーリズムを説明する彼の歴史像は,ロシア史を世界史の中にとらえる試みであったが,図式主義的欠陥は免れなかった。彼の学説への批判は28年におこっていたが,自説を修正しつつ,29年の国内緊張の中で歴史学における階級路線,党路線を推進した。死後の36年にその歴史学は全面的に否定されたが,スターリン批判後再評価された。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポクロフスキー」の意味・わかりやすい解説

ポクロフスキー
Pokrovskii, Mikhail Nikolaevich

[生]1868.8.29. モスクワ
[没]1932.4.10. モスクワ
ソ連の歴史家。科学アカデミー会員。 1891年モスクワ大学を卒業。 V.O.クリュチェフスキーと P.G.ビノグラドフに師事してロシア史の研究をする一方,1905年ボルシェビキ党に加入。 08年党の仕事でジュネーブに行きレーニンと知合った。 17年8月帰国し,翌年5月新生ソビエト政府の教育人民委員となる。以後死ぬまでソ連を代表する歴史家とみなされていたが,死後,36年「反マルクス的」であるとして批判された。主著古代からのロシア史』 Russkaya istoriya drevneishikh vremën (4巻,1910~13) ,『ロシア文化史概説』 Ocherk istorii russkoy kul'tury (2巻,15~18) 。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポクロフスキー」の意味・わかりやすい解説

ポクロフスキー
ぽくろふすきー
Михаил Николаевич Покровский/Mihail Nikolaevich Pokrovskiy
(1868―1932)

ロシア・ソ連の歴史家、政治家、アカデミー会員。役人の子としてモスクワに生まれる。1891年モスクワ大学歴史・文学科卒業。1905年ジュネーブで初めてレーニンに会い、帰国後ボリシェビキに加入し、その新聞の編集に加わった。10~13年『古代よりのロシア史』(5巻・共著)、15~18年『ロシア文化史概説』(2部)を著し、そのなかでロシアにおける商業資本を過大に評価し、ツァーリの専制をその道具と主張した。17年亡命先よりロシアに帰って革命に参加。18年5月から死ぬまでロシア共和国の文部人民委員代理(文部次官)として、文部行政に携わると同時に、歴史研究所の創設や歴史関係の学会誌の発行にも関係した。彼の学説はスターリン時代に批判された。

[外川継男]

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